徳之島・沖縄の強硬な反対についても、1つ指摘したい。マスコミや識者は鳩山首相を批判するが、外交交渉について一般的に考えてみれば、交渉相手国に対して自国内の激しい抵抗を見せつけるという戦術はあり得る。

 実際、徳之島・沖縄の強硬な反対は、米国にとっても頭が痛い問題だ。米国は、普天間基地移設先の条件として「住民の同意」を挙げている。つまり、現状では、辺野古沖の「現行案」も実現不可能である。徳之島・沖縄の強硬な姿勢によって、米国も追い込まれていることも留意すべきだ。

「決着先送り」は、
実は自民党に都合が悪い

 鳩山政権の「決着先送り」は、自民党など「現行案」の見直しに反対してきた勢力にとって、実は都合が悪い。

 仲井真弘多沖縄県知事が「5月末決着にこだわる必要はない」と発言しているように、沖縄県民は必ずしも5月末に決着することを望んでいないからだ。むしろ、鳩山政権が公約に固執して、5月末に拙速に結論を出すことで、沖縄に基地が固定化されることを懸念している。

 一方、沖縄県民は、自民党をまったく頼りにしていない。自民党はこの9ヵ月間、「現行案がベスト」の一点張りであり、沖縄県民はこれまでの自民党政権の無為無策ぶりをしっかり再認識したのだ。

 鳩山政権にとって「公約違反」と批判されることは大きなダメージだ。しかし、自民党の支持率が回復することはない。むしろ、鳩山政権が6月以降も交渉を継続させて、沖縄県の負担軽減への努力を続ければ、それは沖縄県民が望むことである。これを国民が次第に理解するようになれば、自民党は次第に追い込まれてことになる。

 だから、自民党など「現行案」見直しに反対する勢力は、6月以降徹底的に鳩山政権の退陣を要求するし、普天間基地移設問題そのものを終結させようとする。

 しかし、前述の通り、鳩山首相は「自主防衛」に想像以上の執念を持っており、退陣要求を拒否するだろう。6月以降の政局は与野党がガチンコで激しくぶつかり合うものとなる。