最近目立つ「上場ゴール」IPOは投資家を舐めている

 去る11月4日、日本郵政グループの持株会社である日本郵政株式会社、そして子会社のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険のグループ3社が、東証1部に新規株式公開(IPO)し、28年前のNTT以来である超大型上場に市場は沸いた。日本郵政の売り出し価格は1400円だったが、初日から株価はこれを大きく上回り、1760円で取引を終えた。11月13日時点で、東証1部時価総額ランキングでは日本郵政が約8兆6000億円で6位、ゆうちょ銀行が約8兆円で8位となっている。

 時価総額トップ10を見てみると、日本市場のトップに君臨するのは、トヨタ自動車の25兆7306億円。10兆円超えの三菱UFJファイナンシャル・グループ(11兆7629億)、NTT(10兆6713億)に対してダブルスコアをつけるモンスターっぷりだ。その下にはNTTドコモ(9兆8671億)、JT(8兆8240億)といった民営化された企業、そして、KDDI(8兆1587億)、ソフトバンクグループ(7兆9675億)、ホンダ(7兆1240億)と続いている。ここに名前を連ねているわけだから、今回の郵政グループ上場のインパクトのすさまじさが見て取れる(いずれも11月13日時点)。

LINEは上場断念
IPO市場は活性化していたが…

 今年は日本郵政グループ以外にも、1兆円規模の大型上場が見込まれていた。無料通話・チャットアプリの「LINE」を提供するLINE株式会社だ。LINEは昨年、日米でIPOのために準備を進めていたが、年内の上場を断念すると発表していた。今年に入ってからも、今か今かと待ち構える投資家たちの期待をよそに上場を決定することはなく、夏ごろには、今年もIPOを断念したという情報が出てきた。

 しかし、全体で見れば、IPO数は増加している。リーマン・ショックの影響で2009年にIPO件数は激減したが、その後、毎年件数を伸ばし、昨年は77件。今年も、年初には100を超えるのではという一部の予想もあった。実際にはこれよりは少なくなったが、現時点でも83件。IPO市場は大賑わいなのだ。

 昨年の大型上場を振り返ると、4月には、2004年に上場廃止となっていた西武ホールディングスが再上場。さらに9月にはすかいらーくも再上場し、10月にはリクルートホールディングスが初の上場を果たした。リクルートは上場2日目に時価総額は2兆円を突破し、三菱重工や伊藤忠商事、ソニーよりも上位につけた。

 そして、年末にはモバイルゲームで急成長を遂げたgumiが東証1部に上場した。モバイルゲーム企業、たとえばグリーやDeNA、最近ではコロプラといった企業は、ベンチャー向けのマザーズに上場したのち、市場変更するのが一般的であったため話題を呼んだ。しかし、gumiは上場後、投資家たちから厳しい目を向けられている。