そして、この日は、同じ思いと出会うための仕掛けとして、自分が参加した思いや話したいテーマ、自分の住んでいる最寄りの鉄道の路線などを希望があれば名札に書くことを提案。名札をかざして見せ合いながら歩いて回る時間を設けた。

 希望者が路線名を名札に書くアイデアは、当初の「同じ地域でつながりたいので住んでいる県を名札に書いてもらったらどうか?」という提案に対して、「鉄道の路線のほうが現実的につながりやすいのではないか?」「ただ、隠したい人もいるので、希望者のみで…」といった意見を踏まえたもので、いずれも当事者から出されたものだ。

アナログ掲示板には様々な書き込みが寄せられていた

 また、話が苦手な人のために、同じ趣味などで出会いを求めることのできるアナログ掲示板を設置。自分の伝えたい思いや考え、情報などを自由に付箋に書いて貼っていこうということになり、「みんなで育てる掲示板」とネーミングされた。

 ただ、「書いていることを見られたくない」「思いを誰かに受け止めてほしいけど、みんなの前に掲示されたくない人もいる」といった気遣いから、目安箱のような箱に入れてもらい、掲示するかどうかによって〇×を書いてもらうことになった。

「引きこもり」がテーマなのに明るい
初めて誰かと繋がれた人も

 なぜ、全国から多くの当事者たちが参加できたのか。そこには、「参加しやすい空気があったから」だと多くの人たちから聞くことができた。

 母親に「行ってみようよ」と誘われて1時間以上かけて来たという20歳代の男性は、ずっと家族以外との関係性がなくなっていた。「人と話す機会はあったほうがいいかな」という感じで来たものの、やはり最初はおじけづいて、すぐには会場に入れず、1階玄関の辺りでうろうろしていたという。

「入ってしまえば何てことはなかったのですが、玄関には、同じようにしている人たちがたくさんいました。これまでイベントに誘われても行ったことはなかった。そのときの気分が向いたって感じですかね」

 埼玉県から来た30代の女性も、初めて参加した1人。「告知で“日本財団のイベント”というのが気になった。引きこもり当事者が自ら語るというポスターなどを見て、いままで見たイベントとは一味違う感じがした」というものの、最初は大人数に慣れなくて、戸惑ったという。