このような、人気の日本製ソフト・コンテンツを入口に地方都市に辿り着き、現地の観光資源に触れることで土地のファンになる、という流れは訪日中国人動向の新潮流を理解する上で重要な視点の1つとなっている。現在1番人気となっている北海道も、元々は同地を舞台にした映画が元となり、現地を訪れた観光客が景色や海産物の魅力を広めたことで、現在の地位を築いている。

 実は同様の事例は鳥取だけではなく、他の地方にも見られている。人気アイドルグループAKB48の「こじはる」「まゆゆ」をキーワードに「埼玉」に辿り着いたり、「山口百恵」とその主演映画である「エデンの海」をキーワードに「静岡」へ、人気マンガ「スラムダンク」を入り口に「神奈川」へと辿り着いているケースも、検索データからわかったことだ。

中国人が検索する
「下着と水着とラブホテル」

たかはし・だいすけ
1977年生まれ。ネットベンチャーを経て、2004年株式会社サイバー・コミュニケーションズ入社。2005年9月 株式会社電通 インタラクティブ・コミュニケーション局へ移動。2008年2月 百度株式会社(バイドゥ株式会社) 国際事業室入社。現在国際事業室室長として、中国Webマーケティングを活用した日系企業の中国進出支援などに従事。中国インターネット、モバイル(スマートフォン)ビジネスに関する講演など多数。

 訪日中国人の動向に変化が起きているのは観光だけではない。これまで日本に来て「爆買い」するものといえば、高級ブランドの服や靴、化粧品といったファッション関係、または日本製の家電製品というイメージが主流だったが、検索データからはこういった買い物についての新しいトレンドも発見できる。

 まず、意外なものとしては「水着」「下着」が挙げられる。中国人が日本滞在中にBaidu(中国版)で検索する回数はなんと1日あたり1000回を超えている。もう10月という時期にもかかわらず、これらのデータが伸びている背景には「中国にはカワイイものがない」という不満が見受けられる。同様の理由から、妊婦さん向けのベビー用品も高い人気を誇っている。

「中国にないもの」という観点からは、もうひとつ興味深いものが挙げられる。それは「ラブホテル」。これは単純に観光客が殺到するシーズンで他に宿泊先がないから、という現実的な旅行者の事情と、「日本のラブホテルは装飾がすごいらしい」という噂が中国国内で話題になっていることが背景にある。なお「ラブホテル」の日本滞在中検索数は1日あたり1800回ほどとなっている。

 一方、銀座などに店舗を構える高級ファッションブランドに関する検索数は、国慶節の期間中、想定ほど伸びなかったが、前後1ヵ月の期間全体の総数で見ると、昨年に比べてさほど変化しておらず、従来のピーク型から平準化していることがわかっている。

 また、より大きな動向の変化としては、レンタカーや車両保険の情報に対するニーズが高くなっており、個人旅行の割合が伸びていることも、今年の国慶節に見られる訪日中国人動向の特長となっている。