「こんなところにまで出没!?」
国慶節にも押し寄せた中国人観光客
今年は「爆買い」という言葉を何回、いや何百回聞いただろうか? もはや耳にタコができるほど聞いて、飽き飽きしている人も多いかもしれない。2月の春節から始まって、4月には「爆・花見」という新語も飛び交った。日本全国津々浦々まで中国人観光客の需要に沸くなか、足もとでは10月7日までの国慶節(中国の建国記念日)の間に、再び大量の中国人観光客が日本に押し寄せた。
東京は観光施設が多い上に人口も多いのでそれほど目立たないが、地方都市に出かけると、中国人のあまりの数の多さに圧倒される。筆者はこの8~9月、取材のため全国各地に出かけたが、どんな地方都市に行っても、中国人観光客を見かけない日はなかったと言ってもいい。「えっ、こんなところにまで?」と思うマイナーな場所にも彼らは出没していて、驚いたというよりも恐れ入った。
たとえば、長崎県の雲仙温泉。平日で雨も降っていたせいか、少し肌寒くて観光客はまばら。しかし、源泉のそばを散策する中国人の若者5人を見かけた。9月の週末、新宿から高速バスで御殿場に行こうとしたところ、朝9時のバスに飛び乗ろうと思ったら、中国人客が溢れ返っていてバスは満席。次のバスに乗ったら、乗客の7割はなんと中国人だった。彼らは団体ではなく個人客。御殿場駅で下車した後、アウトレットモールに向かう乗り換えのシャトルバス乗り場に、迷うことなくさっさと並んでいたのでさらにびっくりした。
他にも、札幌の日本人がよく行くような健康ランドや、おいしいけれど何の変哲もない東京近郊にある小さなケーキ屋さん、クルマでなければ行けない山梨県の天然記念物・富岳風穴――。観光地はもちろん、観光ルートに載っていない普通のカフェやレストランにも、筆者が行く先々に中国人の姿があった。ガイドブックに載っていない、家の近所のドラッグストアにさえ(居住者のようには見えない)中国人観光客が出没しているのを見ると、本当に感心してしまう。
彼らは、いったいどんな情報を元にこうしたややマニアックとも思える場所を見つけ出し、訪れるのだろうか。多くの日本人が彼らの行動を不思議に思っているのではないだろうか。