一方、エスケイプ・ダイナミクス社は、マイクロ波によるロケット打ち上げを検討している。

 地上に整備された多数のパラボラアンテナからマイクロ波をロケットに向けて照射することで、推力を発生させる。ロケットの胴体部分に熱交換器が設置されており、照射されたマイクロ波のエネルギーを熱エネルギーに変換し、ロケットに充填されている水素に作用させて推力を得るという構造のようだ。これは従来のロケットに比べて軽量化できるため、より大きく重いペイロードを搭載することができる。

 ここで利用するロケットは、スペースシャトルに似た飛行体の構造をしているのも特徴的である。ペイロード分離後は飛行体として帰還する完全再利用型であり、熱交換器などを用いているため構造が非常に単純であることと相まって、低コストなのもメリットだ。

エスケイプ・ダイナミクス社のマイクロ波を活用した完全再利用型ロケット ※動画
出所:Escape Dynamics
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ヘリコプターでロケット回収
“老舗企業”もコスト削減策で対抗

 このような斬新なアイデアで競争力を高めつつあるベンチャー企業に、“老舗企業”も従来型のロケットにおいて、あらゆるコスト削減策で対抗しようとしている。

ULAの次世代ロケット「バルカン」
出所:United Launch Alliance
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 ロッキード・マーティン社とボーイング社との合弁会社であるULA(United Launch Alliance)社は、スマート・リユースという方法を構想している。次世代ロケット「バルカン」(Vulcan)の第1段エンジンの回収を、ヘリコプターを使って行うというものである。これによりエンジンコストを90%削減できるという。

 また、エアバス・グループのエアバス・ディフェンス・アンド・スペース社は、再利用型ロケット「アデリーン」(Adeline)を発表した。第1段エンジンに翼を装備し、パラグライダーのように滑空飛行で着陸させ回収する。これにより20~30%のコスト削減が期待できるとする。

滑空飛行で第1エンジンを回収する再利用型ロケット「アデリーン」
出所:Airbus Defence and Space
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