ユーロの弱さばかりが目立っていたところで、先週は豪ドルなどの資源国通貨も急落しました。
この背景には、米ドル以外の外貨の間で、「勝ち組」と「負け組」の差が広がり過ぎていたという状況があったと思います。
1ヵ月前まで、欧州通貨と資源国通貨で二極化していた
まずは、下のグラフを見てください。これは、ヘッジファンドなどの取引を反映しているとされるCFTC(米商品先物取引委員会)統計のユーロに関する投機筋のポジション動向です。
このコラムでも何度か紹介してきましたが、現在のユーロが空前のネット・ショート(売り持ち)になっていることがわかるでしょう。
次に、下のグラフを見てください。これは、同じくCFTC統計の豪ドルに関する投機筋のポジション動向です。
最近こそネット・ロング(買い持ち)が縮小してきたものの、少し前までは過去最大規模に拡大していたことがわかるでしょう。
このように、ほんの1ヵ月前までは、ユーロなどの欧州通貨は空前の「売られ過ぎ」となり、一方で、豪ドルなどの資源国通貨は記録的な「買われ過ぎ」になるといった感じで、両極端の状況が展開されていたのです。
豪ドルは先週の急落でもニュートラルの水準にある
このような「二極化」の状況は、相場の「下がり過ぎ」を比較してみても明らかです。
5年移動平均線からのカイ離率で、中長期の相場の「下がり過ぎ」を見てみましょう。
ユーロの場合は経験的に、カイ離率がマイナス20%前後に達すると「下がり過ぎ」となりますが、ユーロ/円の5年移動平均線は4月末現在で145円程度ですから、115円を下回ると中長期的に「下がり過ぎ」領域と言えそうです。
それでは、豪ドルはどうでしょうか?
豪ドルの5年移動平均線は、4月末現在で86円程度です。
つまり、つい最近まで85円程度で推移していた豪ドル/円は、「上がり過ぎ」でも「下がり過ぎ」でもない、中長期的にほぼニュートラルな水準にあったと言えそうなのです。