引きこもり状態に関心のある多様な人たちが集まるイベント「ひきこもりフューチャーセッション[庵IORI]」(以下庵)に、庵に初めて参加したのは、2014年2月のこと。当連載の記事を見たのがきっかけだ。

 庵のことは、開催日の1ヵ月くらい前から知っていた。しかし、その日が来ても行く気にならなくて、あと1本列車を乗り遅れたら行けない状況の中で、その列車に乗り遅れたら、行くのをやめようと思っていた。でも、列車に乗れた。庵の会場の入り口でもなかなか中に入れず、誰かしらが入っていくのをコソコソ着いて行く感じだった。

 会場に入っても誰ともしゃべれなかった。自分には無理だなと思って帰ろうとしたら、庵のファシリテーターが話しかけてくれた。「家族のテーブルに入ってみたらどうですか?」と言われた。長く家族以外とは話をしていなかったので、堰を切ったように自分の話ができた。そのとき、何をしゃべったのか、よく覚えていない。でも、参加者たちは、真剣に聞いてくれたのが大きかったという。

 たまたま筆者の隣に座ったAさんに話しかけたとき、Aさんが震えていたのを覚えている。

 そんな庵も2ヵ月に1度の開催のため、その間何をしようかなと思っていたら、ある参加者から声をかけられて、その参加者が活動を始めた「弱さでつながる」という小さなコミュニティに出かけた。

 Aさんは当時、自分の住む地域の情報もなく、行き場所がなかったので、1ヵ月に何度も東京に通った。2ヵ月の時間がすごく長く感じられた。

 その後、庵に1度だけ行かなかったことがあった。

「こういう機会って、逃してしまうと悲しい。行けるんなら行こうと思ったんです」

 庵で出会った当事者から、自分の地域にも家族会があることを知った。「〇〇さん(当事者)の知り合いです」という感じで行けば入りやすいかなと思ったが、やはり入り口でまごまごして入れなかった。何回か入れないまま通ううちに、あるとき、年配の母親から「何してんの?」と言われて連れて行かれ、ようやく入れた。どうせ今日も入れずに帰るんだろうなと思っていたので、入るきっかけをもらえたのはありがたかった。

 Aさんは今年夏、KHJ家族会の支部のある地域で開催してきた「ひきこもり大学全国キャラバン」の講師を地元で務めた。