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新興フィンテック企業が巻き起こす
SNS的決済革命

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第369回】 2015年12月11日
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 何でもシェアしたいミレニアム世代にとって、生活の中のちょっとした瞬間をメモしておくような意味があるのかもしれない。1回のやりとり額の平均は、25ドル程度と見られている。

 このアプリは、銀行口座やデビッドカード、あるいはクレジットカードと紐付けて、そこからお金が出金される。受けた支払い額を自分の口座に入金することも簡単だ。クレジットカード利用の場合だけ、3%の手数料がかかる。

危険性もはらむ中
カンタンなことが支持を拡大

 ただ、急成長している人気のアプリだが、これを用いた詐欺行為も数々報告されている。

 先に「即時の直接支払い」と書いたが、実はこれは厳密に言うと正確でない。ユーザーが支払いボタンをクリックすると、即時に「誰が誰にいくら払った」と表示されるのだが、実際の資金は口座などから金が移動しなければ入金されたことにはならない。詐欺行為はその間隙を縫って、まるで支払ったかのように見せかけて、スポーツ試合のチケットをだまし取ったり、中古品のガジェットを盗んだりすることで実行されている。

 ヴェンモ側は、このサービスはあくまでも友人など顔の知れた仲間とのやりとりに限り、くれぐれも見知らぬ人相手には利用しないようにと注意しているのだが、ネットの中でほぼ終日を過ごすミレニアム世代には、その危険がわからないケースもあるようだ。

 しかし、この急成長に期待して、ペイパルはヴェンモを商用の支払いプラットフォームとして導入する計画だ。P2Pペイメントの簡便さを、店舗などのビジネスが受け入れるわけだ。

 ウーバーなどもそうだが、最近のシェアエコノミー型、あるいはP2P型のやり取りは、通常のブラウザでの処理に比べて極端に少ないクリック数で目的が達成される。その簡便さが利用の人気につながっていることは間違いない。だが、ことお金に対しても、恐ろしいほどの簡単さが広まろうとしているということが、ヴェンモの人気でわかる。こうしたしくみで、消費者間のお金の流動性が増すだろうことは、間違いない。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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