「離婚」の反動はおそろしい

 離婚の方が結婚よりも何倍も大変だ、と多くの人が言う。連立政権も同じようなものらしい。

 普天間基地問題で福島瑞穂消費者庁・少子化問題担当相を罷免し、社民党の連立離脱に至った経緯は、鳩山政権に対して、今までの自民党によるどんな批判よりも強いインパクトを与えた。

 組閣の際には、見ている方が恥ずかしいくらい大臣就任を喜んだ、いわば初々しい花嫁であった福島氏だが、別れる際の経緯では、鳩山氏の不実を印象づけて、夫の世間体に決定的なダメージを与えた。

 この離婚(連立解消)の「有責配偶者」は誰が見ても鳩山首相の方であり、福島氏は、イメージ上、裏切られた被害者のように見える。鳩山氏が世間に広言していた約束を反故にする嘘が理由なのだから、鳩山氏側は全く同情されない。多くの国民は、国会に行って、内閣不信任案ないしは鳩山首相の問責決議にに直接投票したいくらいの気分だろう。

 アメリカ海兵隊の「抑止力」を考えると基地の立地は沖縄しかないことが分かった、との鳩山氏らしい率直過ぎる理由説明も、国防への無理解の点で首相としての資質に自ら疑問符を付ける効果しか持たなかった。

 結局、「できもしない約束」を掲げて、沖縄は勿論、日本の政治を混乱させてしまったことの責任は大きい。退陣論が出るのは、全く当然だ。

 本稿執筆の時点(6月1日昼)では結論が出ていないが、常識的に見て、鳩山首相の辞任は避けられないだろう。