米FOMC、9年6ヵ月ぶり
0.25%ptの利上げを決定
2015年12月15日~16日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの目標レンジが従来の0.00%~0.25%から、0.25%~0.50%へと、0.25%pt引き上げられた。政策金利の引き上げは2006年6月の会合以来、9年6ヵ月ぶりであり、2008年12月以来続いてきた実質的なゼロ金利政策の解除が決定された。
保有する資産規模については、「政策金利の水準が十分に正常化されるまで」現在の水準を維持することを決定した。また、利上げの有無に加えて注目されていた、次回以降の利上げペースに関しては明確なガイダンスはなく、あくまで経済情勢次第というこれまでのスタンスを貫く内容となった。
FOMC参加者の見通しは大きくは
変わらず雇用に対する評価を上方修正
今回のFOMCにおける米国経済の現状認識は「緩やかなペースで拡大している」とされ、10月の前回会合から据え置かれた。個別項目への評価を見ると、個人消費、住宅投資、設備投資、外需に対する評価は前回から変更されていない。
雇用に対する評価が上方修正されており、「継続する雇用者数の増加や失業率の低下を含め、最近の広範な労働市場の指標は一段の改善を示している」とされ、これまで以上に改善が進んだことが強調される表現となった。先行きに関する部分でも、「労働市場関連の指標は引き続き力強さを増す」と従来よりもやや強気の表現へと改められた。
他方で、インフレ動向に関しては、エネルギー価格および輸入物価の下落によって目標を下回っているという表現は維持されたが、前回まで安定的とされていた調査ベースの長期のインフレ期待が「やや低下している」と下方修正されている。
また、前回の声明文で注視していく必要があるとされた海外経済や金融市場のリスクに関する記述は削除され、国内外のリスクを考慮しても、経済活動および労働市場見通しのリスクは安定していると、経済全体の先行きに対してもやや明るさが増す表現となった。
労働市場の改善が進み、リスクが後退したことで、FRB(連邦準備制度理事会)が目標の1つとする「雇用の最大化」が相当程度達成されたことが、利上げ開始の根拠となったことが示されている。
雇用への評価が上方修正され、インフレは慎重化したことを受け、FOMC参加者による経済見通しでは、前回9月時点の見通しから大きな変更点はなかった。