顧客は見事に反応しました。ただバイクに「乗る」のではありません。自身を「表現する」ためにハーレーを買うのです。「仲間」に出会い、楽しむためにハーレーを選ぶのです。

ハーレーは、性能への自己満足でなく、社会的な自己実現のためのツールとなりました。

ハーレー乗りはなぜ試乗せず買うのか

 ハーレー購入者は、試乗をしないで買う人が多いように感じます。おそらく半数以上はそうです。これは他バイクメーカーや四輪の場合に比べ、驚くほど高い比率といえるでしょう。

 もちろん試乗は購買の際の重要なステップであり、ハーレーダビッドソン自身もそれを強く推奨しています。実際、正規ディーラーの店頭には、主要ブランドの試乗車が用意され、仕事帰りでも乗れるようにとヘルメット等の貸し出しまでしています。各種イベントではとにかく、乗って味わって貰うための様々な仕掛けが為されてもいます。

 でも、実際には多くの客は跨ってエンジンを掛ける程度。ちゃんとした試乗はせずに、購入を決めています(*5)。一体全体、なぜなのでしょう。

 ハーレーユーザーはリピーターが多く、大体どんな性能や乗り心地か分かっているから、もあるでしょう。しかも既存客の満足度は非常に高く、満足を表明する顧客が98%、再購入意向では、絶対買うが40%、多分買うが50%で、合計90%という高率になっています(06年 国内数値)。

 ただ実は、国内でのハーレー購入客の8割はハーレー初心者です。売上台数的には「初めてのハーレー」という顧客がほとんどなのです。もし彼・彼女らがバイクの性能や乗り心地を重視するのであれば、試乗しないなんてありえないハズ。

重視されているのは機能や性能ではありません。その他の部分、つまりブランドであり「スタイル」なのです。

*5 購入決定後の試乗が結構多い。