長島聡氏(写真左、ローランド・ベルガー日本共同代表シニアパートナー[自動車])と泉田良輔氏(GFリサーチ代表[電機・IT])

自動車の「自動運転」が現実味を増してきた。米グーグルなどIT企業による参入も取り沙汰される中、日本勢は勝ち続けることができるのか。敗戦した電機産業の二の舞いにならないか。自動車、電機それぞれに詳しい専門家の対談が実現した。(「週刊ダイヤモンド」編集部 池田光史)

──米グーグルのような異業種が自動運転ビジネスに参入し、これから何が起こるのか。自動車業界も、モヤモヤしています。

泉田 なぜ日本の電機産業が衰退して負けたのか、『日本の電機産業』という本にまとめたことがあるんですが、実は電機より自動車業界で反響が大きかったんです。

長島 こうはなりたくない、と。分かる気がします。

泉田 次に狙われるのは日本の自動車産業だと。グーグルは、自動運転車というハードウエアのアプリケーションだけではなく、その後ろにある広大なマーケットを虎視眈々と狙っていますよね。

米国はガソリン車では負け組ですが、ドイツ勢は実はグーグルやアップルなどの米国勢に脅威を感じていて、インダストリー4.0をはじめ、しっかり手を打っている気がするんです。では、こうした米独に対して、日本はどうポジショニングするか。

 まず現状では、各国の自動車メーカーでも自動運転に対する熱量に差があると思うんですが。

長島日系で自動運転に注力しているのはトヨタ自動車、ホンダ、日産自動車の大手3社ですね。特にトヨタと日産の意識は高い。

 その理由は目下のところ、内閣府と共に東京五輪を視野に入れているからです。日本の技術力を世界に披露するのが狙いで、2020年に間に合わせるのは至上命令でしょう。もっともトヨタと日産では若干、色が違います。トヨタはあくまで有人車ですが、日産は無人でいいと言っています。

 ホンダの場合は、自動運転に力を入れたい気持ちはあるはずですが、足元での優先順位としては研究開発の効率改善に取り組んでいる最中です。それ以外のメーカーはトヨタ系のデンソーや欧州のメガサプライヤーからシステムを買っているのが実情で、十分な研究開発投資はできていません。