どうすれば大きくなるんですか???

「大きくならんがな。だから、うちのカキは、小さいですよ、言うて売ります」(三保さん)

 カキの大きさと味が必ずしも、美味しさに比例するわけではない。海の環境にあわせてていねいに育てられたカキは小粒でも身がしまり、甘みのある味わいで実に美味しい。周囲に河川がなく、海水塩分濃度が3.1%以上と高いためカキの旨みが強く出る。

 また、加熱してもカキの身が縮まない。

「業者によっては、真水に近い塩水で洗浄することで、見た目を膨らませて大きく見せるようなところもあります。そういうのは加熱したら縮むわね。うちは海の水のまんま。身の鮮度が保てますし、加熱したら縮まないと言い切ってます。むしろ膨らんで驚かれるわね(笑)」(三保さん)

生まれて一度も卵を産んだことがない「ヴァージンオイスター」。ねっとり濃厚で甘い。白ワインが止まらなくなりそう…

 そもそもカキは大粒だから味がよいというわけではない。アメリカやフランスでは生食の場合、好まれるのはひと口サイズ。たとえばフランスではカキは重さとサイズでは、5番から0番までの6等級に分類され、0が最も大きく、いちばん値段が高いのは4番だ。

 大きさという意味でいえば同社の人気商品「ヴァージンオイスター」は、一度も産卵期を迎えていない生後1年未満程度のカキ。サイズが2cm、5~6gほどの商品だ。100g3564円の高級商品にもかかわらず、大好評。1kg購入していったレストランのシェフもいるという。

 しぶ味がなく、甘くクリーミーでねっとりした凝縮されたうまみ。初めての味わいだ。

「ほかではなかなかやらないでしょうね。市場では規格外のこういったものは取り扱わんでしょう。手間がかかるし、うちは店を持っているから販売できるんですよ」(三保さん)

「風評被害に負けない」
直営店があるからこその強みも

 かなわ水産の強みは東京と広島でカキ専門料理店5店舗、販売店を自社で展開していることにもある。どうしても生食用カキの場合、ひとたびどこかでノロウイルスなどの被害が発生した場合、一気に風評被害で取り扱いは激減し、価格も下がる。

「うちは社内で週1回の海水のノロウイルス検査も行っています。ノロウイルスの検査が確立してから10年ほど経ちますが、一度も検出されていません。でも、どんなに自信を持って『安全だ』といっても、ノロの被害が出ているときには飲食店もカキはやめとこうかと思うわね。でもうちには店がある。ノロウイルスが流行った年も、生食で出しよったね。自分で作ったものを責任持って、自分の価格で売る体制を整えているんでね」(三保さん)

 出口で左右されない。それも厳重な安全対策に万全を期してこそ、だ。