牡蠣ほど、世界中で愛されている貝類はないのではないでしょうか?
古代ローマ時代から養殖が始まっていたそうですが、魚介類の生食文化のなかった欧米でさえ、牡蠣に関しては、好んで生で食べてきました。
生牡蠣の屋台は冬のフランスの風物詩でもありますし、欧米には多くのオイスターバーがあり、豊富な種類の生牡蠣を、数種類の味付けで食べさせてくれます。
昨冬、北米を旅した時、何軒かのオイスターバーに案内していただきましたが、どこもみな地元の人々で賑わっていました。
特に人気は「クマモト・オイスター」と呼ばれる小粒の高級牡蠣で、戦後すぐ、熊本県八代市からアメリカに輸出された牡蠣の子孫だそうです。
現在はアメリカ西海岸で養殖されているとのこと。
小さいながらもクリーミーでおいしく、輸出元である日本で見たことがないのが不思議でした。
【材料】牡蠣…180g/だし昆布…1枚/醤油…1/2カップ(50ml)/酒…1/2カップ(50ml)
【作り方】①牡蠣はよく洗い、ざるにあげて水気を切り、醤油に漬けておく。②だし昆布を適当な大きさにカットし、酒に浸して柔らかくしたら、1を乗せてオーブンで5分ほど焼く。軽く焼き色がついたらひっくり返して3分程度焼く。③昆布ごと皿に盛る。牡蠣を食べた後は、昆布も割いていただく。
意外なことに、古代より魚介類の生食にこだわり続けていたにもかかわらず、我が国が産地以外で殻付きの生牡蠣を食べるようになったのは、明治時代以降のことです。
決して新鮮な牡蠣が獲れなかったわけではありません。
現在でも、隅田川をクルーズしていると、土手沿いに自然な牡蠣の生息が見られるように、遠浅で豊富な栄養分を含む東京湾では、江戸時代から牡蠣の養殖が始まっていました。
また大坂では、晩秋になると、広島方面で大量に養殖された牡蠣を積んだ「かき船」が土佐堀、堂島、道頓堀をはじめとする十数か所以上の堀川に停泊し、牡蠣の販売や、船上で牡蠣尽くしの料理をふるまったそうです。
広島市郷土資料館の「カキ船コーナー」に、天保3年(1832年)、富山の住職・東林が味わったメニュー全8品が再現展示されており、希望者にはレシピがいただけるそうです。
ラインナップは、酢ガキ・カキの胡麻油炒めおろし大根しょう油添え・カキのからまむし(炒めたおからと和えたもの)・カキのひね生姜煮・カキの吸物・カキと芹の鍋・カキの土手焼き・カキ飯。
船の上でこれらが味わえるなんて、牡蠣好きにはたまらない贅沢ですね(笑)。