素敵なリーダーたちは、よくこんなことを言います。

 アイデアは、移動距離に比例する。

 インスピレーションは、異空間に身をおいた時に訪れる。

 私が秘書として働いていた時、こんなことを耳元で囁く人たちがいました。

「静岡出張より、福岡出張のほうがいい。インスピレーションが湧いてくる。選択できるときは、なるべく東京から離れた場所がいい。離島なんて最高だ」

「次回のグローバルミーティングは、いつも以上に楽しみだ。ブラジルで開催されるからね」

 このように、東京からなるべく離れた場所がいい、つまり、今いる場所から物理的に距離が離れている場所を好む人が多かったのです。

利便性の高い新幹線よりも
飛行機を選ぶ理由

 なかには、移動手段を指定するリーダーもいました。

 たとえば、大阪出張が決まった場合を例に挙げてみましょう。

 人によっては新幹線で向かう人もいれば、飛行機で向かう人もいます。新幹線の発着する東京駅や品川駅が近い、また、新大阪駅に近いところで打ち合わせがある場合、新幹線で大阪へと向かう人が多いのではないでしょうか。

 ところが、利便性よりも、「飛行機」という乗り物を優先したのです。

 ある時、その理由を聞いてみたことがあります。

私:「次回のご出張は、新幹線で行かれたほうが便利だと思うのですが」

上司:「そうだね、その日の移動の効率性を考えた場合は、そのとおりだ。でも、ボクは、いかに効率的に移動できるかを考えるよりも、いかにこれからの仕事にいいインパクトを残せるかを考えて行動している」

私:「新幹線よりも飛行機に乗ったほうが、仕事にいい影響を及ぼすことができるというわけですね」

上司:「そうだ。ほら、大阪に到着するとわかっていても、飛行機に乗ったら、周りは雲ばかりだろ。異空間だし、時々どこに向かっているのかわからないという感覚になるのがいいんだ」

私:「おっしゃるとおり、周りが雲ばかりだと、日本を超えて海外へ、はるばる遠くまで向かっている気分になりますものね」

上司:「そうだね。なるべく異空間に身をおいてごらん。そうすると、ふとインスピレーションが湧いてきて、今までどんなに考えてもわからなかったことが、解決に向かうことがある。素晴らしい瞬間だ。この前は思わずブラボーと叫んでしまったよ(笑)」

私:「ブラボーって。それは素晴らしいですね!」

上司:「仕事にいいインパクトを残せるというのはそういうことだ。わかってくれたかな」