50代、60代、あるいは70代以降も能力とやる気のあるビジネスパーソンが「活躍」するために、有効かつ必要と思われる施策を3つ提案したい。ここで提案する施策はいずれも、簡単な法律や制度改正で可能なものであり、国家の「予算」を要するような類いのものではない。ただ、制度を変えて、その変更を大いに活用するよう奨励するムードを作ればいい。

 提案は3つある。

中高年「活躍」のための3つの施策
提案その1:「定年廃止」の法制化

 普通に考えて、人の能力ややる気は年齢が同じでもまちまちだ。そうであるにもかかわらず、一律に年齢を基準にして退職させることは、一種の「差別」ではないか。法律家は、定年制に「合理的な理由」をいくらでも思いつくのかもしれないが、筆者は、素朴な倫理観としてそう思う。

 加えて、雇う側の利益から考えても、定年よりも前に辞めてもらう方がいい人もいれば、定年を越えても変わらないモチベーションで働いてもらう方がいい人もいる。「年齢」だけを基準に社員の退職を決めることは、個々の社員を見ない「雑な人事」であり、人材の使い方として「もったいない」。

 従って、提案の第一は、年齢による一律の退職制度である「定年制」を原則として禁止する法律を作ることだ。

 政府は、経済政策として、女性と共に高齢者の労働力参加の増加を期待している。「定年禁止法」は、倫理的にも正しいし、経済政策の趣旨にも合うのではないか。加えて、国家予算を圧迫しないばかりか、年金支給年齢の引き上げとも適合する政策なので、間接的に財政の支援にもつながり得る。

 現在、「定年」という仕組みに合理性があるとすれば、年齢を理由とする退職勧告は社員が受け入れてくれやすく、手間が掛からず、低コストだ、というあたりが使う側の本音だろう。

 もっとも、正社員の解雇を難しくしている日本の労働法制を考えると、この本音にも一理はある。

 理想的には、「定年禁止法」と「正社員解雇の自由と金銭解決のルール」をセットで制度化することだろう。