「大きいから、もっと小さくして欲しい」、
 「重たいから、軽くして欲しい」、
 「遅いからもっと早くして欲しい」、

 こういった声がいわゆる顧客ニーズであり、すでに顕在化しているものです。顧客の不満、不便、不信、不利、等々、いわゆる“不”を解消することが大切です、といった話もあり、もちろん企業の活動として重要であることは否定しませんが、これらの活動が出来ているからといって顧客の満足や感動を得られるわけではありません。「やっと対応してくれた」という、いわば当たり前のレベルができるようになったに過ぎないのです。

 かつて、森永製菓より「ウイダーinゼリー」という商品が発売されました。当初はアスリート向けに、缶飲料として発売されたのですが結果は全く売れなかったようです。その後、10秒でとれる朝ごはんをキャッチコピーに、SMAPの木村拓哉をCMに起用し、新しい市場を生み出すことに成功しました。

 このように、企業サイドの声としては「こんなモノがあったら嬉しいでしょう」、顧客サイドの声としては「そうそう、こんなモノが欲しかったんだよ」、に代表されるような潜在化していて事前に把握することが難しいものが“顧客ウォンツ”です。

 クラフトというチーズの企業も、特に顧客からの“不”の声が出ていた訳ではなかったようですが、かつて売上の低迷(といっても横ばいですが)に悩んでいた時期がありました。

 何とか打開策をと徹底的に顧客とのコミュニケーションを図ったところ、自社商品であるチーズが実際に使われるときは、その用途に合わせて様々な加工をされていることに気づいたと言うのです。決して不満を訴えているのではなく、料理するのに加工は当たり前だという感覚です。

 しかし、クラフトは一大決心をします。スライスチーズや味付チーズなどあらかじめ加工を施してある商品を順次投入していったのです。すると、思いのほか大きな支持を得ることができ、あらたな成長ステージを作ることに成功したといいます。

 少しはヒントになったでしょうか。そうです、決して顧客ニーズを探るということではなく、顧客と同じように商品を使ってみることです。その上で、自分に問いかけをするのです。