とはいえ聡さんが婚活サイトで成婚の報告をしたり、アカウントを削除したり、退会の手続をしたりすれば、おびただしい数の誘惑に駆られることもなかったはず。百歩譲って婚活サイトに「うっかり」とプロフィールを残したままにしておいたとしても、女性からのアプローチを無視したり、断りの返事をしたり、「見なかったこと」にしておくなど、途中で引き返していれば良かったのです。なぜ聡さんは歯止めが利かなかったのでしょうか?

「もっと良い子と知り合いたい、付き合いたい、エッチをしたい」

 このような動物的な本能、男性的な下心、そして飽くなき向上心は誰しも大なり小なり持ち合わせているでしょうが、まだ独身なら、これらの煩悩を全開にしても良いでしょう。しかし、すでに妻帯者なのに本能や下心、向上心を「不倫の大義名分」にするのは無理があります。

「一生のことだから、安易に妥協したくないんです!」

 聡さんは結婚4ヵ月目ですが、残念ながら、まだ独身気分が抜け切っていないようで、聡さんの言葉尻から罪悪感や後ろめたさは、これっぽちも聞こえてこなかったのです。

SNSの浸透、婚活の盛り上がり
異性と出会う確率が飛躍的に上昇

「こんな理由では妻が離婚に応じるはずがない、仮に離婚できたとしても隣の芝生でしょう」

 私は口を酸っぱくして聡さんに念押しをしました。「隣の芝生」というのは別の女性と結婚しても、また別の女性が魅力的に見えるという繰り返しという意味で、ここで食い止めなければ、聡さんは「終わりなき旅」へ出発進行しかねません。結局、聡さんは計4回、私のところへ通ったのですが、紆余曲折を経て、最終的には渋々ながら翻意し、元の鞘に戻ることを決めたのです。

 今回のような結婚「後」のマリッジブルーは、2016年の日本だからこそ、特に顕著なのではないでしょうか?聡さんの場合、妻と結婚したにもかかわらず、妻より魅力的な女性が目の前に現れたのですが、SNSの浸透、婚活の盛り上がり、そして人脈の可視化により、異性と出会う確率は以前と比べて飛躍的に上昇しており、婚活サイトはあくまで一例に過ぎません。