新年を迎えて「今年こそは人生を変えたい」「夢を実現したい」と思う人は多い。しかし、一体どれだけの人がその実現に向け努力しているだろうか。現役の経営者で陽明学者の加地太祐氏は、「成功するためには、何より実践が大事」と説く。本連載では、そんな加地氏の初の著書『成功する人の考え方』(ダイヤモンド社より1月16日に発売)の内容をベースに、これまでの人生を変えて、成功をたぐり寄せるためのポイントをお伝えしていく。成功する人は、なぜ実践を重視するのか?
最も重要なことは行動である
僕の手元には、あるセミナー後の統計データがある。そのデータは「どんなに素晴らしいことを学んでも、実践する人は三割以下である」というのだ。
僕らは、子どもの頃から色んな人に「勉強しなさい」と言われるが、しかし、「実践しなさい」とは言われない。
本来、学びとは実践を目的としたものであり、ただ知識を仕入れるためのものではないのだ。
鹿児島に、この事を教えてくれるとても素晴らしい「いろは歌」がある。
このいろは歌は、島津家中興の祖である日新公が五年の歳月をかけて作ったと言われている。
当時の薩摩には郷中教育、現代でいう教育プログラムがあり、いろは歌もそこで歌われていた。
僕がまず驚いたのは、いろは歌の初めの「い」の歌だった。
「いにしへの道を聞いても唱えへも、我が行いにせずば、かひなし」
過去の賢者や賢人の話をいくら口にしても、実践、実行しなければ意味はありません。
なんと深く考え抜かれた言葉だろうか。
これを幼少の頃から聞かされてきた子ども達は、様々なところで活躍する人間になろうとしたのではないだろうか。
実践なくして結果は生まれない
現代の教育は、どちらかと言うと「先知後行(せんちこうこう)」と呼ばれるスタイルだ。
知識を先に知ってこそ実践できるという考え方で、まず学び、そして行動するというものだ。
しかし、僕はこの考え方に疑問を持っている。
なぜなら、この考え方では成功する人になるというよりも、先生になる人が増えるのではないかと思うからだ。
では、成功する人の考え方とはどういうものなのだろうか。
それは「知行合一(ちこうごういつ)」というものだと思う。
先の「先知後行」が学びを優先するのに対し、「知行合一」は実践を優先する考え方だ。
つまり、どんないいことを学んでも、実践できなれば知らないことと同じであるというものだ。
実は、この考え方は「朱子学(先知後行)」と「陽明学(知行合一)」の対立でもあるのだが、どちらの考え方でも、実践なくして結果は生まれないという点では同じだ。
鳥肌が立つ瞬間を大切にせよ
キミが何かに志を立てて成功する人を目指すとき、必ず様々な学びを求めはじめるだろう。そして素晴らしい学びと出会ったとき、心から感動し「鳥肌が立つ」経験をするときが来る。
その瞬間を絶対に大切にして欲しい。
なぜなら、キミの内側にある何かが反応して、鳥肌が立っているからだ。
ある住職は、僕にこのような事を教えてくれた。
「何か素晴らしいことを聞いて鳥肌が立ったとき、それはキミ自身が天と繋がった証なんだよ」
誰かの悪事を聞いて鳥肌が立つ事はありえない。
鳥肌が立つときは、キミの過去からの遺伝子と内側の魂が反応して起こしている現象なのかもしれない。
1976年大阪生まれ。株式会社aim代表取締役。
阪南大学高等学校中退後、溶接工に。その後、サラリーマンになり英会話スクールに通うが、1年後の2004年に通っていた英会話スクールが倒産。当時の従業員に「給料を数ヵ月もらわぬままオーナーが失踪したので助けてください!」と生徒なのに相談される。月商18万円で家賃支払いが23万円と大赤字なのにもかかわらず、「可哀想だから」と400万円を借金して援助し、サラリーマンを続けながら思いがけずオーナー経営者になる。
しかし、3ヵ月で資金がなくなり、助けてと言った従業員も退職。その後、英会話スクールの経営を実弟にまかせるが、1年後に病死する。この人生のどん底のときに安定したサラリーマンを辞め、給料の出ない英会話スクール経営1本に絞る。その後、NOVAが倒産し英会話教師だった外国人失業者があふれた。彼らを黙って見過ごせないと、生徒が増えたわけでもないのに日払いで外国人を雇う。この行動が新聞に紹介され、それがもとで生徒数が飛躍的に増え、以後、順調に業績を伸ばす。
2015年2月6日、交通事故に合い5日間意識不明に。6日目に目覚めたとき、「このまま死んだら僕はこの世界に何も残していないことになる」と愕然とする。
それがきっかけで、スタッフや愛する娘たちに残せるのは「言葉しかないのだ」と悟り「成功する人の考え方」の連載をスタート。純粋に言葉の力を試すために名前をふせたままスタートするも幸運にも支持を得て開始8ヵ月で3万いいね!を突破。月間リーチ数250万人の人気ウェブサイトに成長する。年間1000人以上の経営者と対話し、会社経営を行う傍ら、1人でも多くの成功者を世に出したいと、日夜、記事の執筆に精力を注いでいる。山田方谷を学ぶ実践塾「方谷塾」塾頭、陽明学者。
所属団体
・盛和塾<大阪>世話人。稲盛和夫の経営者塾世話人
・EO Osaka<Entrepreneur Organization>理事。アメリカに母体を持つ経営者団体。年商100万ドル以上の経営者が集まる団体
成功する人の考え方HP http://ekusia.com/
フェイスブックページ https://www.facebook.com/seikousuru/
※次回は、1月22日(金)に掲載します。