新年を迎えて「今年こそは人生を変えたい」「夢を実現したい」と思う人は多い。しかし、一体どれだけの人がその実現に向け努力しているだろうか。現役の経営者で陽明学者の加地太祐氏は、「成功するためには、何より実践が大事」と説く。本連載では、そんな加地氏の初の著書『成功する人の考え方』(ダイヤモンド社より1月16日に発売)の内容をベースに、これまでの人生を変えて、成功をたぐり寄せるためのポイントをお伝えしていく。成功というのは、ひとりで成し遂げることは難しい。だから、キミは多くの人たちに助けてもらえる人間にならなければならない。では、どうしたらそのような人間になれるのだろうか?
花になるか、糞になるか
僕が子どもの頃に育った地域は、沢山の緑があった。
近くの川に釣りに行ったり、昆虫を捕まえたりしながら、今よりも忙しい毎日を過ごしていた。
その中でも、僕の関心を最も集めた生き物がいた。
それは「蝶」だ。
蝶は突然どこからともなく現れ、その綺麗な姿を自慢するように目の前を飛び回り、綺麗な花を見つけると立ち止まり蜜を吸う。その綺麗な姿は子どもだった僕の心を魅了した。
逆に、僕にはどうしても受け入れることができない生き物がいた。
それは「ハエ」だ。
すこし潔癖症の僕は「ハエ」見ると、鳥肌が立つ。
なぜなら、ハエは動物の糞や汚物に止まるからだ。
僕はハエが近くに来ると、何か汚い物がカラダのどこかに触れるのではないかと思い、どうしても好きになれなかった。
この世に不必要な生き物はいないかも知れないが、やはり自然界にも「美しい物」「美しくない物」は必ずあると思う。
綺麗な花には綺麗な蝶が集まるように、素晴らしい人間には、素晴らしい人間が集まる。
成功というのは、ひとりで成し遂げることは難しい。
ならば、素晴らしい人材に助けてもらえる人間にならなければならない。
では、どうしたらきれいな花のような人間になれるのだろうか。
花として生きるために
(1)優れた仲間を恐れる
「優れた仲間が現れたとき、絶対に恐れてはいけない」
こんなことを言うと、それはあり得ないと思うかも知れない。
しかし、実は恐れる人間は多い。
例えるなら、キミが起業して初めて人材を募集したとする。すると知人からこんなことを言われる。
「とても優秀な人材が仕事を探している。彼は有名大学卒で優秀だから……」
もちろん、優秀な人材は喉から手が出るほど欲しい。
しかし、自分はそんな優秀な人間を満足させることができるのかと悩むのだ。
沢山の給料を払うことはできないし、会社の仕組みも未熟だ。
そんな人材が今来てもやめていくのではないか。紹介してくれる友人に恥をかかせるのではないのか。
そんなことを思って大切な縁を逃してしまう。
違うのだ。人は仕事で魅了するのではない。
花である自分自身で相手を魅了するのだ。
(2)相手の夢の延長線上に
成功とは、キミの目指す夢の延長線上にあるが、それを他人に押しつけてはいけない。
なぜなら、優秀な人間は必ず、目指すべき未来を持っているからだ。
花のように引きつける人物は、自分の夢を押しつけるのではなく、相手の夢の延長線上に自分の夢を重ねる。
否定するのではなく、他人の夢を理解し、その先にある未来を共に見ようとするのだ。
(3)自分が正しいときほど傲慢になる
キミはきっと成功するために様々なことを学んでいくだろう。
そして、ある種の理念が固まってくる。
きっとキミが考える理念は正しいと思うが、この正しさが失敗を生む。
絶対に正しいことを教えようとしてはならない。
どんな人間も、良心という素晴らしいものを持っている。
しかし、これを教える人間は必ず失敗をする。
良心は教えるものではなく、気づき、内側から育てていくものなのだ。
1976年大阪生まれ。株式会社aim代表取締役。
阪南大学高等学校中退後、溶接工に。その後、サラリーマンになり英会話スクールに通うが、1年後の2004年に通っていた英会話スクールが倒産。当時の従業員に「給料を数ヵ月もらわぬままオーナーが失踪したので助けてください!」と生徒なのに相談される。月商18万円で家賃支払いが23万円と大赤字なのにもかかわらず、「可哀想だから」と400万円を借金して援助し、サラリーマンを続けながら思いがけずオーナー経営者になる。
しかし、3ヵ月で資金がなくなり、助けてと言った従業員も退職。その後、英会話スクールの経営を実弟にまかせるが、1年後に病死する。この人生のどん底のときに安定したサラリーマンを辞め、給料の出ない英会話スクール経営1本に絞る。その後、NOVAが倒産し英会話教師だった外国人失業者があふれた。彼らを黙って見過ごせないと、生徒が増えたわけでもないのに日払いで外国人を雇う。この行動が新聞に紹介され、それがもとで生徒数が飛躍的に増え、以後、順調に業績を伸ばす。
2015年2月6日、交通事故に合い5日間意識不明に。6日目に目覚めたとき、「このまま死んだら僕はこの世界に何も残していないことになる」と愕然とする。
それがきっかけで、スタッフや愛する娘たちに残せるのは「言葉しかないのだ」と悟り「成功する人の考え方」の連載をスタート。純粋に言葉の力を試すために名前をふせたままスタートするも幸運にも支持を得て開始8ヵ月で3万いいね!を突破。月間リーチ数250万人の人気ウェブサイトに成長する。年間1000人以上の経営者と対話し、会社経営を行う傍ら、1人でも多くの成功者を世に出したいと、日夜、記事の執筆に精力を注いでいる。山田方谷を学ぶ実践塾「方谷塾」塾頭、陽明学者。
所属団体
・盛和塾<大阪> 世話人。稲盛和夫の経営者塾世話人
・EO Osaka<Entrepreneur Organization> 理事。アメリカに母体を持つ経営者団体。年商100万ドル以上の経営者が集まる団体
成功する人の考え方HP http://ekusia.com/
フェイスブックページ https://www.facebook.com/seikousuru/
※次回は、1月20日(水)に掲載します。