ジャッキー・チェンの最新自伝『永遠の少年』邦訳版がついに刊行! 挫折と成功、命がけの撮影、切ないロマンス、黒社会との関係、浮気と隠し子問題、息子の大麻事件、引退や生死について等々、これまで語られてこなかった秘密エピソードが満載です。本連載では、映画を超えるような彼の人生を同書から抜粋して紹介します。第4回は彼が今最も力を入れている慈善活動について!
なぜ慈善活動を
始めるようになったのか
香港を代表する映画俳優/監督。1954年香港生れ。7歳から10年間、中国戯劇学院にて京劇を学ぶ。1978年に主演した香港映画『酔拳』が大ヒットとなり日本でもジャッキー・チェンの名が知れ渡る。その後、1980年代からはハリウッドに進出し『プロジェクトA』『ポリス・ストーリー』と主演作が立て続けに大ヒットを記録。世界的な大スターの座を築き現在に至る。アクションとコメディを両立させた作風には熱狂的なファンが多い。最新の自伝『永遠の少年』が絶賛発売中!
20代初めに一気に売れると、買い物、飲酒、女遊びにうつつを抜かすようになった。女は口説く必要すらなく、花に群がる蝶々のように群がってくるので、振りほどこうとしても振りほどけないほどだった。
あの頃から、慈善活動に協力してくれと言ってくる人がいた。「“大哥”、香港の大口環児童医院に、あなたに会いたいという子どもがたくさんいる」と言う。何度も頼まれたが、行きたくなかったからぜんぶ断っていた。毎晩のように酒を飲んでいたので、朝はとても起きられなかったからだ。
それでも、あまりにもしつこいので、一度くらいは、と思って行ってみた。夜だというのにサングラスをかけて。しかし、行ってみると、衝撃を受けた。子どもたちの様子を見ると、ほんとに悲しくなった。部屋に入ると、すぐに僕を取り囲んでくる。強い薬の匂いがした。初めは少し怖かったが、だんだんとかわいそうに思えてきた。子どもたちは、
「大好き、ほんとに大好き、触っていいですか」
などと言っている。胸を打たれる思いがした。病院のスタッフが話すことを聞くと、穴があれば入りたい気分になった。
「“大哥”はとても忙しいのに、来てくれてるんだよ。昨夜も、徹夜で映画を作っていて、一睡もしなかったから、眼元が腫れて、サングラスをかけているんだ。もう少ししたら、また仕事に戻るそうだ。“大哥”に、来てくれてありがとう、と言おうね」