相場の反発はあっても一時的
投機的な売りが出やすい状況

 世界経済を原油価格の動向と併せて考えると、ディスインフレ環境下での金融政策、新興国の景気に与える影響には注意が必要だ。

 原油価格の下落は物価上昇率を抑制し、世界的にディスインフレ圧力を高める。そのため、金利は上がりづらい。利上げに踏み切った米FRB(連邦準備制度理事会)も、今後、慎重な政策スタンスを示すことになるはずだ。

 昨年の年末にかけて米国の製造業の景況感が悪化し、それに加えて、12月の小売売上高がマイナスに落ち込んだ状況を考えると、同国経済の状況にも少しずつ不透明要因が目立ち始めている。今後の米国経済の展開次第では、FRBは利上げの実施に踏み切れない可能性もある。

 その場合、わが国やユーロ圏などでは追加的な金融緩和が期待されることになるだろう。政策効果への期待が、一時的に原油価格や株価を反発させるかもしれない。ただ、世界経済が抱える不透明要因を考えると、そうした状況が長く続くとは考えにくい。

 投資家にとって、一時的な相場の反発は株式などのリスク資産を売却するいいタイミングかもしれない。

 資源価格の下落の引き金となった中国では、これからゾンビ企業の淘汰など構造改革を進めようとしている。大胆な改革は失業者の増加など、社会の不満を高めやすい。政府は社会の混乱を避けたいはずで、改革は進まず今後も中国の景気はずるずると低迷する恐れがある。

 現在、中国政府は市場安定のために、株式の売却制限や為替相場への介入を実施している。今のところ市場は小康状態を取り戻しつつあるように見える。しかし、ひとたび投資家が大挙して中国の本土株や人民元を売り始めれば、政府の力で売り圧力を食い止めることには限界があるだろう。

 すでに、アジアの新興国通貨の中には、1997年の通貨危機以来の安値まで落ち込んだ通貨もある。産油国等でのドルペッグの維持など通貨制度に対する懸念も強くなっている。そうした市場の綻びを狙って、投機的な売りが出やすい状況になっている。

 下落のペースが速かっただけに、一時的に原油価格が反発することはあるかもしれない。しかし、世界的な資源に対する需給の悪化という問題は、短期間での解決が難しい。原油をはじめとする資源価格の不安定な展開は、これからも世界経済や金融市場を動揺させることになるはずだ。