コンプライアンスの話をするなら、CA(キャビンアテンダント)の例がある。その昔、CAを「スチュワーデス」と呼び、女性だけがその仕事についていたころ、「容姿端麗」が募集要項に入っていたことがある。航空会社のレベルが国家の格を表すと考えられ、中でもスチュワーデスはサービスの最前線に立つ花形の職業でもあったことから、特別感を維持する目的もあったのだろう。しかし、業務そのものだけを考えれば容姿端麗である必然性はない。

 当時も、募集要項に「容姿端麗」を入れるのは問題ではないか、という議論はあったようだ。その後、飛行機での移動が普通のことになり、容姿端麗は募集要項から外された。さらに性別の特定を避ける観点から、女性を示すスチュワーデスという言葉も使われなくなり、現在は「CA」と呼ばれるようになっている。

 今でも身長だけは「160センチ以上」などという形で募集要項に残っているようだが、これは「スタイルのいい人を採用したい」という意図ではなく、「頭上の荷物の出し入れをするためにそれだけの身長が必要だから」ということになっている。つまり、仕事の性質上必要であるために、身長という「外見的な要件」を募集要項に残しているのである。

トップの見映えが
企業の「ソフトパワー」に直結する時代

 では、会社の役員が「容姿端麗である」というのは、果たして仕事の性質上必要なことだろうか。役員含め企業の「トップ」の代表的な仕事を少し考えてみよう。

 彼/彼女らの仕事は、経営上必要な意思決定をすること。経営の目標や方針を指し示すこと。そして、社員をやる気にさせること。よい案件をまとめること。株を買ってもらうこと。そのために社員の前で話すこと、取引先の人と話すこと、株主の前で話すこと…である。「縁の下の力持ち」的な仕事もあるが、普段あまり会わない大勢の人を対象とする仕事は多い。そのとき、「社長の顔」こそが「企業の顔」であると考えれば、その見映えは会社の経営にとって非常に重要なことだと考えられはしないだろうか。