1000人以上の経営者へのインタビューを15年近く続けてきた藤沢久美氏の最新刊『最高のリーダーは何もしない』。

多数決の機会があっても、重要事項の決定はリーダーに委ねられることが多い。決断のために、誰に、どう意見を求めればいいのか? また、メンバーからの相談にどう応えるか?

▼連載 第6回▼
世界の企業トップが「日本型リーダー」に注目している

▼連載 第7回▼
「リーダーの魅力」はどこから生まれる?

▼連載 第8回▼
なぜあのリーダーの決断は「自信に満ちている」のか?

▼連載 第9回▼
優秀なリーダーほど「まぐれ」を味方にする

▼連載 第10回▼
「楽天家リーダー」がチームを壊す

决断の全責任はリーダー1人に

「リーダーは孤独である」という話を一度や二度は耳にしたことがあると思います。最後に決断を下すとき、リーダーはたった独りだからです。

民主的な多数決がある世界でも、重要事項の決定はトップに委ねられていることが少なくありません。私が出席している取締役会や政府の委員会などでも、最終的には「議長一任」ということがほとんどです。

最後の最後の決断は、やはりリーダーの仕事です。

もちろん、上司や部下に相談するのは間違いではありませんが、決断するのはリーダー自身であり、その責任はリーダー1人が負うのが原則だということを肝に銘じておく必要があります。

たとえその決断が失敗を招いても、すべてはリーダーのせい。意見をくれた人には決して責任を問うべきではありません。

また、たとえ何か意見を求めたとしても、上司の顔色を伺って肯定的なことしか言わない部下もいるでしょうし、一部のメンバーだけに相談していると、「あのリーダーは依怙贔屓している」という声が組織・チーム内に出てくるかもしれません。

サッカーの岡田武史監督は、日本代表の監督をしていた当時、選手とは絶対にプライベートな食事に行かないようにしていたそうです。人間なので、一緒にご飯を食べたりするとどうしても情が移り、直感や決断が鈍るというのです。