なぜあのリーダーの決断は<br />「自信に満ちている」のか?

1000人以上の経営者へのインタビューを15年近く続けてきた藤沢久美氏の最新刊『最高のリーダーは何もしない』。

メンバーが自ら動きたくなるようなビジョンをリーダーはどうやって生み出しているのか?

大きな決断をする際のポイントとは?

▼連載 第7回▼
「リーダーの魅力」はどこから生まれる?

▼連載 第6回▼
世界の企業トップが「日本型リーダー」に注目している

▼連載 第5回▼
悩めるリーダーは「同族企業」を見よ

▼連載 第4回▼
優秀なリーダー2つの条件
——「戦略性」と「きれいごと」

▼連載 第3回▼※人気記事!!
「動き回るリーダー」ほど仕事がおそい!?

既存の土台に「新しい柱」を加える
―後継者の場合

家族経営などの後継者の場合、老舗企業になればなるほど、創業時から伝えられている哲学やミッション(使命)を大切にしています。
しかし、ビジョンは時代とともに変わる目標のようなものですから、先代から代表権を引き継いだ時点で、新たにビジョンを考え直すリーダーが多いようです。

グローバル化が進み、これまでのやり方が通用しない企業・業界が、あちらこちらで見られるようになりました。
これまでの事業を基礎にしながらも、次なるビジネス領域を開拓し、両者を包括するような新ビジョンを掲げる後継者さんが各方面で出てきています。

たとえば、株式会社ありがとうサービス(本社 愛媛県今治市)は、創業当時はミシン販売からスタートしていますが、2代目の父の代にデパート経営へと事業を展開しました。
さらに、3代目の代表取締役社長である井本雅之さんは、大きな社会の変化に合わせて、飲食事業とリユース事業へと経営の舵を切り、すべての人に感謝する思いを忘れないようにと、社名も「ありがとうサービス」に変更しました。

サラリーマン経営者の場合も、前任者がつくり上げたさまざまな価値観や習慣・体験が、メンバーの行動原理を支配していたりと、目に見えない「壁」がありますが、ファミリー企業や老舗企業の場合であれば、その壁はなおさら高く、容易に変えられるものではありません。