褒めることが奨励され始め、
職場内では部下育成にギャップも

 ところが、です。最近は職場で部下をやる気にさせるため、「叱る」ではなく、「褒める」ことが奨励されるようになりました。だからでしょうか、「褒めること」を学べるビジネス書のヒット作もたくさん登場しています。

 友人で以前は大手生命保険に勤務していた祐川京子さんは、セールスレディー向けの研修講師をしている際に、

「彼女達にいつもほめ言葉を書いてもらっていたが、みんな書けないし、悩んでいる」

ということに気づきました。そこで、600パターンの褒め言葉を紹介した『ほめ言葉ハンドブック』を出版したところ、10万部を超えるベストセラーに。つまり、潜在的には褒めることには必要性を感じ始めている人が増えているのです。

 おそらく、10年前であれば職場は褒めることが不要と考える社員が大半だったのでしょうが、最近は苦手でも「大事」と捉えて褒めることを必死に取り組む社員のシェアが徐々に増えています。その結果として「職場に褒め言葉=大事」と考える社員と、「相変わらず不要」と考える社員が混在するようになってきました。それに伴って、お互いの価値観の違いから衝突が起き始めています。果たして、どのような衝突が起きているのでしょうか?

慕われる「褒め上手」な先輩と
嫌われる「叱ってばかり」の先輩

 ある専門商社の営業部は男性ばかりの職場で、以前は先輩社員が後輩社員を罵倒するほど厳しい雰囲気が漂っていました。ところが、そんなパワハラ的な状況で若手社員の離職が相次ぎ、しかも採用難をカバーすべく女性社員も配属されることになりました。そこで、このままでは職場崩壊もありえると経営陣も営業部長も危機意識が芽生え始め、

「職場のコミュニケーションを変えよう」

との改善活動の実施が決定。その打ち手の1つに「先輩社員が後輩を厳しく叱ることの禁止」が含まれました。