2013年5月22日に、当時のバーナンキFRB議長が、量的緩和の縮小(Tapering)を言ってから、その完了までに1年半を要し、その後、0.25%の利上げをするだけでもさらに1年かかっている。追加利上げは難しくなっているし、4.5兆ドルに膨らんだバランスシートの規模縮小のめどは立ってない。これでは、1回の利下げはできても、追加量的緩和は容易ではない。

 マイナス金利を厭わない緩和もあるだろうが、日銀のマイナス金利導入後の市場の動きを見ると、これも容易ではない。米国の金融政策は身動きの取れない状態に追い込まれている。

大統領選も不透明要因に
世界経済低迷打破の力はない

 さらに、ここへきての大統領選挙の情勢も、米国経済の先行きを見る上で悩ましい問題を突きつけている。

 代表的予測市場(Prediction Markets)であるPREDICTIで見ると、合衆国大統領の当選の読みは、民主党の候補指名の先頭を走るクリントンが43%、共和党候補を狙うトランプが25%、民主党の二番手候補のサンダースが19%である。ここで注目は、トランプとサンダースの共通性であろう。二人の善戦に共通するのは、格差問題である。この6年の奇跡の回復の恩恵を得られていない人々からの支持と言ってよい。

 6年での右肩上がりの経済への回復を果たした量的金融緩和の追加発動には、格差問題という点で、大統領選挙の最中では政治的に難しい面がある。財政発動は、共和党が議会の優勢を持つ中で、やはり難しい。政策不透明が強いということになる。

 米国経済は、成長持続を期待できるが、既に拡大の勢いのピークは過ぎている。世界経済の停滞を打破できるパワーは持っているようには見えない。