利用の実態を見ると、利用全体の95%近くが通院。北上市内の病院は市街中心部だけでなく、市内各所に点在しており、利用者の通院先も様々ある。料金は距離制で、片道で8kmまでが800円、10kmまでが1000円、そして12km以上が1200円となる。参考として、口内町中心部からJR北上駅にタクシーを利用した場合、料金は2500円ほどかかる。

 一方、「公共交通空白地(昨年までの過疎地という表現を廃止)・有償運送」の場合はどうか?

高齢化する地域の「足」に自家用車を使う試みの難しさ「町内輸送サービス」などの自家用有償旅客運送で使用している、軽自動車 Photo by Kenji Momota

 運用区域は、口内町・町内発着での運行としているだけで、許可書上での「登録に付する条件」はない。実際には、利用者は口内町民に限定している。登録には、1世帯あたり年間1000円の会費がかかる。1回の利用料金は、町内の場合、どこでも片道100円。この100円という価格設定は、「公共交通機関の概ね半分以下」が自家用有償旅客運送の制度における「目安」だという。

 利用時間は、平日(または、文化祭・敬老会などの町内行事の日)の午前7時半頃から午後5時半頃まで。利用の前日までに、「NPO法人くちない」の事務所に電話で希望日時と場所を伝える。

 同町内に配布している「町内輸送サービス」ご利用ガイドというパンフレットには、「自宅からバス停」「郵便局や農協ATM」「町内のお友達の家に行ってお茶したい」などの事例を紹介している。実際には、利用全体の約7割が「自宅からバス停」の利用だ。自宅からバス停まで3~4kmというケースが珍しくなく、また1km未満でも利用するケースもあるという。路線バスは、岩手県交通が口内町から北上町まで1日4往復(口内町中心部から片道550円)している。この他の利用シーンとしては、地区の寄り合いや、お寺・墓参り、そして夏休みに小学校のプールに通う子ども向けである。

 また、盆と正月を除く土曜、日曜日の場合、北上市の中心部への運行を行っている。口内町発が午前9時と午後1時半、帰りが午前11時半と午後4時の便だ。利用する土・日の前の金曜日の午後3時まで受け付けている。利用料金は800円から1200円と、福祉有償輸送と同じく距離によって変動する仕組み。市内への行先では、大規模医療施設の済生会病院、大手デパートのさくら野百貨店などだ。

 こうした「福祉有償運送」および「公共交通空白地・有償輸送」に使用している車両は、地域内の個人所有車が9台と、「NPO法人くちない」の所有乗用車1台の合計10台だ。車両のタイプは、小型ワゴンや軽自動車が多い。