例えば2012年。持ち分発電容量5000メガワット台の住友商事、三井物産、三菱商事に対し、丸紅は8700メガワットで群を抜いていた。丸紅が電力ビジネスで「商社ナンバーワン」を自負する根拠は、他の追随を許さない持ち分発電容量の圧倒的な規模にあった。

電力が非資源の“主戦場”に

 しかし近年、その丸紅を猛追したのが三井物産だ。13年度の1年間で2500メガワット超を一気に積み上げ、その後も大型案件を次々に受注した。現在6800メガワットの住友商事も開発段階の案件を中心に拡大を図る。

 各社が持ち分発電容量を競うように伸ばしている背景には、長期にわたって安定収益が得られるIPPの収益構造にある。新興国では電力需要の増加が続く見通しで、原油や鉄鉱石などの価格低迷で資源ビジネスが総崩れの商社とすれば、発電事業は非資源の柱となり得る格好の投資先なのだ。

 一方、丸紅にとっては「電力で負けるわけにはいかない」(丸紅社員)。この2年間は資産の積み上げと売却がほぼ均衡し、持ち分発電容量の大幅増はなかったが、エジプト最大級の石炭火力発電所建設へ向けて実現可能性の調査に乗り出すなど巻き返しをうかがう。

 資金力では財閥系商社に及ばないが、丸紅は長年培った知見と意地で電力ナンバーワンの座を奪還できるか。「看板」の真価が問われている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 重石岳史)