「英語で会議」に参加しなければならなくなったらどうするか?『6万人のビジネスマンを教えてわかった 時間がない人ほど上達する英語勉強法』の著者・中村澄子さんが、テレコン(電話会議)で使える言い回しや、心がまえを解説します。
英語で会議! どうやって発言する?
最近は、外資系企業だけでなく日本企業でも、数ヵ国の拠点を結んでのテレコン(電話会議)が頻繁に行われるようになりました。
こうしたテレコン参加者のよくある悩みは、「みんなが次々と話す中に割って入れず、自分の意見が言えない」というものです。
「あなたの意見は?」と振ってくれたり、悠長に人の話を聞いてくれる雰囲気ではない場合もよくあります。
静かな会議に慣れた日本人は、そうした雰囲気に気後れしてしまうのでしょう。
意見があっても、どのタイミングで入っていいかわからず、気がつけば別の話題に移っていた、というようなことを経験した人もいるのではないでしょうか。
では、会議ではどうやって発言するか? ちょっとした言葉を使えば気軽に割り込んでいけます。
その方法とは、いま話している人の名前を呼ぶことです。たとえば、
“John”
と、まず相手の名前を呼び、“I want to say――”と声を張り上げれば、みんなあなたの話を聞こうとします。
また、
“Oh!”
という感嘆符も、いろいろな人の話が錯綜しがちなテレコンでは、発言するきっかけになる有効な言葉です。
“Oh!”と叫んで一瞬、間ができたところで、“I strongly agree with――”(~に大賛成です)とか、“That’s an interesting point.”(それは面白い指摘です)と言って、それに続けて自分の意見を発表するのです。
聞き取れない、話がわからない
ときの対処法
問題は、何が話されているのか聞き取れない、話題を見失ってしまったときです。
そのような場合には、相手に聞き直すことになります。理解していないのに、つい“Yes”などと答えてしまうと、後でとんでもないことになりかねません。
よくやりがちなのが、
“Please say that again.”(もう一度、言ってください)
という聞き方ですが、Pleaseをつけたところで命令形ですから、これは避けたほうがいいでしょう。
聞きにくかったり、聞こえなかったりしたときに、“Sorry?”や“Pardon?”(失礼、何ですって?)などと、もう一度聞きかえすことはネイティブでもありますが、それが使えるのもせいぜい2回まで。
それ以上になると、「この人は聞こえなかったのではなくて、理解できない人なんだ」と判断されてしまい、それとなく会話を打ち切られてしまうこともあります。
ではどうするか。相手の言ったことをオウム返しで確認したり(間違っていれば「そうじゃない」と訂正してもらえる)、とりあえずその部分はスルーして話を進めてもらい、区切りのよいところで、
“Let me clarify what you said.”(あなたのおっしゃったことを確認させてください)
と言うのもアリです。
以下の囲みは、新刊『6万人のビジネスマンを教えてわかった 時間がない人ほど上達する英語勉強法』に掲載したものです。
“Sorry to cut in.”(割り込んですみません)
“Sorry to stop you.”(あなたの話を止めてしまってすみません)
など、一言添えてから、聞き取れなかった箇所を特定して聞きかえすなど工夫をするといいと思います。
これまでに紹介した表現は、テレコン(電話会議)以外でも使える便利な言い回しです。でも、テレコンなら、別の手も使えます。
毎週、世界15ヵ国をつなぐテレコンに参加している私の元教室生が教えてくれたのですが、
“There is some noise on the line.”(雑音が入りました)
と、機械のせいにしてしまうこともあるそうです。実際、よく雑音は入るので、あながちウソでもないそうです。
「これだけは伝えたい」ことは
事前にメールしておく
テレコンによっては、事前に話し合われるテーマや参加メンバーがわかっていることがあります。もし、「どうしてもこれだけは言っておかなければならない」ことがあれば、ファシリテーター(司会進行役)や参加メンバーに、あらかじめメールで伝えておくという手もあります。
某メーカー勤務の男性も、大手アメリカ企業とテレコンを行う際には、事前にメールで根回しをしておくそうです。そうすることでネイティブどうしの早口の会話についていけない場合に起こりうるトラブルを回避できるとのことです。
テレコンをスムーズに運ぶために、事前にできることは何でもやっておきましょう。
反対意見をやんわり言うには…
日本人としては、反対意見をどのように言えばいいのか、迷うところです。
実は、英語でも、あからさまに相手を全否定するような表現は避けられる傾向にあります。率直に意見を言うことと、相手の面目を失わせることは別なのです。
ですから、“I don’t agree with that.”(私はそれには賛成しません)と完全否定する言い方はできるだけ避けましょう。その代わり、
“That’s a good idea, but――”(それはいい提案ですが――)
と、まず相手の話を認める発言をしてから、自分の意見を述べます。
また、相手の意見に賛成できない場合は、“No”と言う代わりに、
“Actually, ――”(実は――)
を使うといいかもしれません。
“Actually”は、相手の発言とは異なる意見を婉曲的に述べる際に便利に使えます。
コツは、申し訳なさそうな表情も使って、表現することです。
会議で意見を言うのは「貢献」!
英語の文化では、自分の意見を持っていることが重要視されます。
意見を持っていない人や、意見が言えない人は、軽蔑されてしまいます。韓国や中国にも英語が苦手な人は多いのですが、彼らは会議の席ではとにかく主張しますから、極端にシャイで話せないのは日本人独特の性質なのかもしれません。
しかし、これだけグローバルにシビアな競争が行われている時代に、「日本人の特質だから」とだんまりを決め込んでいるわけにはいきません。
意見を言うことは、チームに対する貢献なのだという意識を持ちましょう。
みんながあなたの意見を聞きたがっているのです。遠慮せず、自分の意見を発表しましょう。
同志社大学卒業。イェール大学でMBA(経営学修士)を取得。帰国後、米国の金融コンサルティング会社の日本法人立ち上げに参画。その後、オフィスS&Yを設立。大企業で英語研修講師を務める傍ら、東京・八重洲でキャンセル待ちが列をなすTOEIC専門スクールを運営。購読者3万人を超える人気メルマガ「時間のないあなたに!即効TOEIC250点UP」の発行者でもある。累計80万部の『1日1分レッスン!新TOEIC TEST千本ノック!』シリーズ(祥伝社)の他、『TOEICテスト英単語 出るのはこれ!』(講談社)など著書多数。
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