前回述べたように潜在患者数100万人から200万人とも言われている「C型肝炎」。2010年4月、肝炎治療に対する医療費助成制度の一部が改正され、助成制度の受給者及び治療者は大きく増加するかと思われたが、当初目標よりも伸び悩んでいるという。その背景には一体何があるのか。肝炎治療に対して患者が未だに抱える問題点と今後の課題について、武蔵野赤十字病院の泉並木副院長と日本肝臓病患者団体協議会の西村愼太郎常任幹事に話を聞いた。

治療費助成制度の一部改正で
患者の金銭的負担が軽減

「治療しながら仕事を続けられるのか――」<br />高額医療費だけではないC型肝炎患者が直面する悩み泉 並木(いずみ なみき)/東京医科歯科大学医学部卒業後、同大学付属病院勤務を経て武蔵野赤十字病院へ。現在、同病院の副院長・消化器科部長であり東京医科歯科大学医学部臨床教授、近畿大学医学部客員教授も兼任。厚生労働省B型・C型肝炎治療標準化研究班委員。

 2008年4月から、C型肝炎の根治を目的とするインターフェロン治療を受けるすべての方に対して、医療費の公的な助成制度が始まった。助成内容は、薬剤費、診療費、入院費などの自己負担の上限を、収入に応じて月額1万円、3万円、5万円とし、残りの費用を国と県が負担するというものである。これまでは治療に月額7~8万円が必要であったが、自己負担の上限が決められることで患者さんの負担軽減につながり、治療を受ける人が増えると期待されていた。

 しかし、インターフェロン治療の治療費助成制度の受給者数は伸び悩んだ。2008年に助成制度を利用した人は約4万5000人。年間10万人のインターフェロン治療を受けるという厚生労働省の当初目標を大きく下回る結果となった。

 なぜ、治療費助成制度の受給者数は大きく伸び悩んだのか。2008年に施行された助成制度のもとでは、インターフェロン治療を受けている患者さんの世帯当たりの市町村民税額に応じて、助成額が算定されていた。そのため、患者さんに収入がなくても、同居している人の収入によっては、一定の負担が必要であったのである。

 例えば、年金暮らしのお年寄りが患者の場合であっても、ある程度の年収がある子供などと同居していれば、患者負担はいちばん高い月額5万円になる場合もあったため、途中で治療を断念する方も大勢いたと言われている。

 こうしたなか、2010年4月、肝炎治療に対する医療費助成制度が一部改正された。ひとつは、自己負担限度額を決定する算定方法の変更だ。これまでの「世帯全員の所得」から「世帯全員、ただし扶養関係のない同居人を除くことができる」により、低所得者の自己負担額は原則1万円 (世帯の市町村民税課税年額が23万5000円以上は2万円) に軽減された。

 また、助成対象にB型ウイルス肝炎の核酸アナログ製剤治療を追加拡大。さらに、インターフェロン治療に係る助成制度の利用回数の制限緩和を盛り込んだ。これにより、助成期間も最長48週間から72週間に延長された。

 医療費助成制度の改正について武蔵野赤十字病院の泉並木副院長は、以下のように評価する。