メディアは民主党政権に厳しい
鳩山内閣とメディアとの蜜月は、そう長くは続かないようだ。
予算編成や国家戦略室に関する報道は、民主党が選挙で訴えた政治主導の予算編成が必ずしも順調にスタートしていないことを滲ませている。前原国交相の対応のまずさもあって八ツ場ダム問題についても批判の論調が強い。亀井郵政・金融担当相のモラトリアム法案に関しても、もともと民主党の政策に中小企業向けの融資の返済猶予措置があったにも関わらず、連立政権の不一致を煽りつつ問題点をことさらに大きく報道した印象があった。また、鳩山首相のいわゆる「故人献金」問題についても、手厳しい。
そもそも、外国の真似をして「メディアは政権発足後100日間は批判を控える」必要などないし、政府も国民もそのような寝ぼけた期待を持つべきではない。民主党政権が、一個一個の問題に対してスピード感をもって対処しないと、国民の期待が失望に変わるのも早いはずだ。
もともと大手メディア関係者の多くは自民党とより近い関係にあったし、中には自民党のかつての有力政治家との親交を背景に出世したと覚しき経営者もいる。また、岡田外相が適切にも大臣会見を記者クラブ以外のメディアに開放したが、こうした動きは多くの既存メディアにとって、既得権の喪失を意味する。大手メディアが民主党政権に対して批判的なのは当然だし、民主党の側も覚悟を決めて仕事を進める必要がある。
予算編成はどうなっているのか
現在、政府にとって最も重要な課題は来年度の予算編成だ。しかし、政治主導の予算編成の司令塔機能を果たすことが期待されている国家戦略室は、根拠法が無いので、「国家戦略局」になっていないし、従って、菅直人担当大臣の手足となるスタッフも居ないし、建物もない。
国家戦略室を国家戦略局に格上げする法案について、民主党は、今月開かれる臨時国会ではなく、来年の通常国会まで先送りする可能性を示唆しているという。平野官房長官は、「戦略室の考え方を踏まえて関係閣僚で協議をすれば懸念はなくなる」として、当面は戦略室のままで問題はないとの認識を示したというが(日経ネット)、それで「問題はない」はずがない。これでは、菅直人大臣は仕事のしようが無いだろう。
藤井財務大臣も「一番税収の見通しを知っているのは財務省」と予算編成を主導する構えだという。