東京都景観写真はイメージです Photo:PIXTA

東京は今、国際都市としての競争力をさらに高める大きな転換期にある。高層ビル群が林立するだけでは真の都市再生は実現しない。元総務大臣の竹中平蔵氏は、都市の魅力と機能を高め、持続的発展を実現するための戦略を示す。東京が目指すべき新たな都市像について解説する。※本稿は、竹中平蔵『日本経済に追い風が吹く』(幻冬舎新書)の一部を抜粋・編集したものです。

世界のどこにもないほど
クレーンが建ち並ぶ東京

 日本経済の追い風は、東京に吹いている。東京という経済拠点を、さらに強化するチャンスがあるということである。どういうことなのか説明しよう。

 日本の人口は毎年約60万人のペースで減少している。一方で東京圏の人口は約10万人増えている。したがって他の地域は毎年50万人減っていることになる。「東京(圏)一極集中」といわれる現象である。

 今、高層ビルの上から東京の街を眺めると、たくさんのクレーンが立ち並んでいることがわかる。これだけ多くのクレーンが立っている都市は、世界中どこを探してもない。東京では現在、約25の大型都市再開発プロジェクトが進んでいる。

 例えば、日本橋や八重洲、浜松町で大規模開発が行われている。六本木、虎ノ門、赤坂、北青山と枚挙にいとまがない。渋谷では、駅周辺の道玄坂と宮益坂を歩道でつなぐ工事が進められようとしている。新宿西口では、小田急百貨店のビルの建て替えが進んでいる。

 周知のように、東京都には、「都心」と「副都心」がある。

 千代田区、港区、中央区を「都心3区」と呼ぶ。千代田区には東京駅や国会議事堂・官公庁がある。港区には多くの外国大使館や東京タワー、レインボーブリッジがある。中央区には、銀座や日本橋、築地がある。