ひとつ具体例を挙げましょう。

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作業に慣れているAさんと、不慣れなBさんがいます。この二人に一緒に作業するように指示をしたとします。いまから作業を始めたら、いつ終わるでしょうか?
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 こんな問題を考えてもらうことがありますが、多くの方が「こんなの、答えようがない」と言います。
 とても残念な反応です。おそらくこういうタイプの方は現場でも「なるべく早く終わらせろ」なんて指示をしているのではないかと邪推してしまいます。

 念のため筆者の考えを申し上げますと、この仕事をAさんとBさんがそれぞれひとりでやったら、どのくらいの時間がかかるのかを数値化します(まず、この思考がなかなか出てこないようです。数字で考える発想がない証拠ですね)。

 仮にAさんが2時間、Bさんが4時間だとします。あとは電卓の仕事です。

 Aさん:1時間で50%処理できる
 Bさん:1時間で25%処理できる
      ↓
 AさんとBさん:1時間で75%処理できる

 仕事量を1とでもおけば、1÷0.75=1.333……
 つまり、1時間20分ほどで終わる計算になる。
 AさんとBさんには、「1時間目標で、遅くとも1時間半後までには終わらせるように」などと指示するでしょうか。

「いつ?」に数字で答えない

 要するに、筆者がお伝えしたいのはこういうことです。

 「いくら?」には、当然のように数字で答えるのに、
 「いつ?」には、数字で答える発想がそもそもない。

 この例に限らず「いつ?」に対して、こんな答え方をするビジネスパーソンがとても多いことを研修の現場で感じます。