「転職すれば、素敵な世界が待っている」

 なんて世の中甘いものではありませんが、「転職しなければよかった」と後悔している人の数は意外と多く、驚くほどです。そんな彼らに後悔している理由を訊ねてみると、「転職前の方が恵まれていた」と転職後の職場環境に対する不満を口にします。

 慎重に考えて転職したはずなのに、なぜ多くの人が前の職場とのギャップを感じ、後悔してしまうのでしょうか。今回は、転職前と転職後の会社のギャップについて考えてみましょう。

「やりたいことが見つかるはず!」
新しい職場への期待を抱いて転職

「部長、会社を辞めさせてください」

 広告代理店P社に勤務していたBさん(26歳)はメールで上司に退職の旨を伝えました。すると上司がBさんのデスクまでやってきて、
「ちょっといいかな?」
と、Bさんを別室に連れて行きました。

 部下に会社を辞められると、自分の評価が下がります。上司は、自らの保身もあって必死の慰留です。ただ、そんな説得を受けてもBさんの意志は変わりません。

「会社は君に期待している。だから辞めないでくれ」

 幾ら慰留されても、暖簾に腕押し。心が動くことがありませんでした。

 結局、Bさんは翌月末で退職。ただし、P社に在籍しているときから転職活動をしていたので、無職になる期間もなく、新たな職場で働くことが出来ました。人材紹介会社のキャリアアドバイザーに薦められて、最近成長著しいPR会社に応募。そして、転職する2ヵ月前には内定をもらっていました。かなり用意周到な転職活動だったようです。

「新しい職場ではやりたいことが見つかるはずだ」

 転職前までは、「仕事にやりがいを感じない…」と悩んでいたBさんでしたが、新しい職場に大いなる期待をしているようです。

 前の職場では、送別会を開いてもらい、立つ鳥跡を濁すことなく、惜しまれて退職したことに本人は大満足のようでした。

転職後に待っていたのは
プレッシャーと“外様”の立場

 では、転職後に「素敵な世界」は待っていたのでしょうか。