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シリコンバレーで考える 安藤茂彌

オバマ大統領とシュワルツェネッガー知事に学ぶ!
ねじれ国会こそ政治家一人ひとりの見識を示す好機

安藤茂彌 [トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]
【第34回】 2010年7月29日
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 カリフォルニア州の財政は破綻寸前の状況にあるが、財政の立て直しを提案する多くの議案が「たなざらし」にされ、州財政は悪化の一途をたどってきた。これに業を煮やしたシュワルツェネッガー知事が、選挙改革に乗り出した。その第一弾が共和党と民主党の予備選挙廃止の提案である。

 先月、カリフォルニア州の有権者はプロポジション14(住民投票事項14)と呼ばれる提案への採決を求められた。プロポジション14は二大政党の予備選挙に代えて、候補者の所属政党を隠して有権者に投票させ、得票数の高いトップ二人を本選挙での候補者とする制度である。この提案は53.7%の投票者の賛成を得て、来年以降の選挙に適用されることになった。

 この制度改定によって、党派色の強い主張を繰り返す頑迷固陋な政治家が退場し、党派を超えて問題解決に当たれる柔軟な考え方を持った実務的な政治家が増えてくることが期待されている。

 日本では去年8月の衆議院選挙で民主党が大勝し、二大政党時代が到来することを予感させた。だが、世界の潮流は違った方向に向かっている。議院内閣制の元祖であるイギリスでは二大政党の保守党・労働党のいずれもが過半数をとれず、最初から連立政権を組まざるを得なかった。そして米国では、連邦レベルでは党派の垣根を越えて問題の解決を志向する動きが顕在化してきているし、州レベルでは二大政党を崩す動きが出てきている。日本が二大政党政治を実現させたときに、皮肉にも世界はこれを崩す方向に歩み始めたのである。

 日本では党の締め付けがきつく、党が反対の方針で居るのに、賛成票を投じると村八分に遭う危険がある。米国では民主党案に賛成票を投じた共和党議員が党内で冷遇されたという話は聞いたことがない。この国には党と言う大枠はあるものの、最終的には個人の判断を尊重する慣行がある。上院議員が大統領候補になろうとすると、その議員が過去においてどの議案に賛成したか反対したかを徹底的に調べあげられる。その人物の信憑性を図る上で重要な判断材料になっているのである。

 日本でも政党が「数」で競うのではなく、「質」で競う時代になってきたのではあるまいか。今問われるのは議員一人ひとりの「見識」と「判断力」である。今回の選挙でどの党も一党では過半数をとっていない。政党が分散している今の状況こそ、議員一人ひとりが個人の「見識」と「判断力」を発揮する絶好のチャンスであるように思う。

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安藤茂彌
[トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]

1945年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、三菱銀行入行。マサチューセッツ工科大学経営学大学院修士号取得。96年、横浜支店長を最後に同行を退職し渡米。シリコンバレーにてトランス・パシフィック・ベンチャーズ社を設立。米国ベンチャービジネスの最新情報を日本企業に提供するサービス「VentureAccess」を行っている。VentureAccessホームページ

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シリコンバレーで日本企業向けに米国ハイテクベンチャー情報を提供するビジネスを行なう日々の中で、「日本の変革」「アメリカ文化」など幅広いテーマについて考察する。

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