持続力がなくても、集中力を発揮する方法

 私は、多くの社長から「小山さんは持続力がある」と思われているようですが、じつはその逆。私の欠点は持続力がないことです。
 私は、自分の欠点まで熟知したうえで、その欠点を活力に変える時間の使い方を心がけています。

 私は、同じ作業を長時間継続することができません。
 そこで、「スケジュールを細かく区切って、仕事の内容と仕事をする場所を意識して変える」ように心がけています。

 学校の時間割のように、「何時から何時までは、この仕事をする」と分割して時間を使うことで、集中力を保っているのです。私がいくつもの仕事を同時並行で進めることができるのは、「持続力がない」という欠点のおかげです。

 わが社の上岡(かみおか)佳之課長は、「複雑なことをミスする」ことがわかっています。ところが、私と同様に持続力がないので、時間の使い方を誤ると、彼の長所を活かすことができません。

 では、どのように時間を使えば、上岡は力を発揮するのでしょうか?
 彼にしっかり働いてもらうには、次のような指示を与えればいい。

「午後4時から4時30分までは、コーヒーショップでコーヒーを飲みなさい」

 集中力を維持するために、上岡には「休憩」が必要不可欠です。だから「コーヒーを飲む」という仕事(息抜き)を与えたほうがいいわけです。

 仕事の合間にコーヒーを飲みにいけば、ふつうの会社なら「サボっている」と評価を下げます。でも、わが社は違います。「サボる」(適度に休憩を入れる)ことも大事な仕事のひとつです。上岡は2回連続S評価を取っています。

<著者プロフィール>
小山 昇
(Noboru Koyama)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。東京経済大学を卒業し、日本サービスマーチャンダイザー株式会社(現在の株式会社武蔵野)に入社。一時期、独立して株式会社ベリーを経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰。1989年より社長に就任して現在に至る。「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を毎年増収増益の優良企業に育てる。2001年から同社の経営のしくみを紹介する「経営サポート事業」を展開。現在、600社以上の会員企業を指導しているほか、「実践経営塾」「実践幹部塾」「経営計画書セミナー」など、全国各地で年間240回以上の講演・セミナーを開催。1999年「電子メッセージング協議会会長賞」、2001年度「経済産業大臣賞」、2004年度、経済産業省が推進する「IT経営百選最優秀賞」をそれぞれ受賞。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。
2004年からスタートした、3日で108万円の現場研修(=1日36万円の「かばん持ち」)が年々話題となり、現在、70人・1年待ちの人気プログラムとなっている。
『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』『強い会社の教科書』(以上、ダイヤモンド社)、『99%の社長が知らない銀行とお金の話』『無担保で16億円借りる小山昇の“実践”銀行交渉術』(以上、あさ出版)、『【増補改訂版】仕事ができる人の心得』(CCCメディアハウス)などベスト&ロングセラー多数。
【ホームページ】
http://www.m-keiei.jp/