米軍基地、核兵器問題…
日本はどう振る舞うべきか

 では、どうすればいいのか? トランプは、「日本が米軍駐留費用を大幅に増やさなければ、米軍を撤退させる」といっている。つまり、「日本が米軍駐留費用を大幅に増やせば、米軍はとどまる」ということだ。日本政府は、今後10年程度をメドに、トランプの要求を飲めばいい(もちろん、法外な要求は交渉で断るべきだが)。

 そして、米国からの協力も得て、これから10年程度で「自分の国を自分で守れる体制づくり」を進めていく。準備ができた段階で、トランプの望みどおり米軍に撤退してもらえばいいだろう。結局、日本は、いつまでも米国に依存しつづけるわけにはいかない。「いつか通らなければならない道」ならば、トランプの脅迫をきっかけに、スタートを切るべきだ。

 3の「核兵器保有容認」はどう考えるべきだろうか。核兵器は、極めて有効な兵器である。北朝鮮のような最貧国でもつくれるほど安価で、抑止力は抜群だ。米国のような超大国ですら、核保有国・北朝鮮への攻撃を躊躇する。

 とはいえ、「だから核兵器をつくればすべてうまくいく」とはならない。日本は「核拡散防止条約」(NPT)に参加している。もし、日本が核兵器を保有したければ、当然NPTから脱退することになる。すると、「既存の世界秩序を壊した」ということで、世界的に孤立することになるだろう。

 中国、ロシア、韓国が強硬に反対するのは確実だ。はっきりはわからないが、欧州も反対する可能性が高い。トランプ大統領が誕生すれば、米国は「認める」というが、そもそも「儲からないから米軍を撤退させる」というような男が、真剣に日本を世界から守ってくれるだろうか?というわけで、核兵器はあった方がいいが、同時に「世界的に孤立する」「世界を敵にまわすリスクがあることを決して忘れてはならない。

 ここまでいろいろ書いてきたが、トランプはまだ大統領ではなく、大統領になれるかもわからない。大統領になっても、優秀なブレーンたちが彼を説得し、考えを変えさせるかもしれない。それでも、「米軍が日本から撤退する日」を見据え、シュミレーションを開始することは必要だ。

 そして、トランプが大統領にならなくても、米国は長期的に衰退するトレンドにあり、やがて「米軍がアジアから撤退する日」がくる可能性は極めて高い。ウォール・ストリート・ジャーナル3月29日付で、同紙ワシントン支局長のジェラルド・F・サイブは、トランプだけでなく、他の共和党候補も、軒並み「世界への積極的関与を支持していない」事実を書いている。

 そして同氏は、記事を「世界における米国の役割に関しては、共和党がこれまで主導してきた積極的な関与を支持する候補者はクリントン氏のみとなっている」と締めくくった。つまり、米国が「内向き」になっているのは、トランプに限らず「大きなトレンド」なのだ。

 よって、好むと好まざるとにかかわらず、「日本が自立を迫られる」日は近づいている。