いま世界150万部突破・39か国刊行のベストセラーとなっているのが『STOP OVERTHINKING ── 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』だ。Amazon.comでも13,000超のレビューで世界が絶賛する話題書についてライターの照宮遼子氏に寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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「できなかったこと」ばかり
数えてしまう理由
「今年こそ、英語を頑張ろう」「素敵な国へ旅行へ行こう」と思っていたが、結局何もできなかった。
日々の忙しさに追われて、気持ちだけが置き去りになっていた。
SNSには「今年も充実した一年でした!」の投稿が並び、それを見ながら、自分だけが何も成し遂げていない気がしてくる。
年末の振り返りは、本来、穏やかに一年を締めくくる時間のはずだ。
けれど、多くの人は、気づけば自己反省会を開いている。
「できなかったこと」を数え、「来年こそは」と誓う。
そしてまた同じサイクルに戻る。
この憂鬱なループから抜け出せないのは、人が持つ思考のクセに原因がある。
人はネガティブな出来事を強く覚えてしまうものだ。
たとえば、365日のうちトラブルがあったのは10日だけでも、その10日のほうが鮮明に思い出される。
一方で「何も起きなかった355日」は、記憶に残らない。
私たちは、問題にならなかった日々を意識することなく通り過ぎているのだ。
年末の自己反省ループは、まさにこの欠乏思考の罠だ。
「足りない」と数えるたびに、心は少しずつ疲れていく。
世界的ベストセラーの教え
この年末も日本で話題となっている、全世界150万部突破のベストセラー『STOP OVERTHINKING』の著者ニック・トレントン(行動心理学修士)はこう述べている。
自分が様々な点でいかに恵まれているかを意識するだけで、時折困難に見舞われてもラクに受け止められるようになる。
――『STOP OVERTHINKING』(P.238)より
本書は、「持っていないものではなく、持っているものに意識を向ける」ことの大切さを教えてくれる。
「三流」「二流」と「一流」の違いとは?
年末の振り返りで大事なのは、「できなかったこと」を数えることではなく、「崩れずにいられたこと」を数えることだ。
365日のうち、大きな病気をしなかった。
仕事を続けられた。
大切な人と過ごす時間があった。
それらは、全部うまくいっていたことの一つである。
SNSに書ける成果がなくても、あなたの日々には問題にならなかった時間が確実に積み上げられている。
そう気づいたとき、「最悪な年だった」と思っていた一年が、振り返ってみれば「よく頑張った年」に変わる。
本書を読んで、そんな視点の切り替えができるようになった。
三流は「反省」し、二流は「来年こそと焦る」。
だが、一流は「今ある幸せを数える」。
来年の目標を立てる前に、まずは今年、「頑張ってきた自分」に小さく拍手を送ろう。
何も起きなかった日々に感謝しながら過ごす年末こそ、本当に穏やかな一年の締めくくりなのかもしれない。
(本稿は『STOP OVERTHINKING ――思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』に関する特別投稿です)









