40の声を聞いたばかりのFさんはがっちり型の体育会系。鯨飲馬食の毎日でも病気とは無縁だった。ところがある日突然、40度近い高熱と激烈な肛門の痛みに襲われた──。
急な発熱とともに肛門周囲の腫れ、激しい痛みが発生した場合は肛門周囲膿瘍が疑われる。肛門の内側にある肛門腺に腸内細菌が侵入して炎症を起こすもの。膿瘍を切開して膿を出せば痛みと腫れは引くが、肛門内の感染源となる入り口が残っている限り炎症を繰り返す。そのうちに感染源の入り口と膿の出口をつなぐトンネルが形成される。これが“あな痔”と呼ばれる痔瘻(=じろう)だ。男性痔主の2割が相当し、がっちり型で肛門括約筋の力が強いと細菌が侵入しやすいらしいが、定かではない。
痔瘻はいったんトンネルが貫通してしまうと、常にじくじくした膿に悩まされる以外に症状はない。不快だが日常生活に支障がないため放置し、炎症と耐えられない痛みが再燃して初めて手術に踏み切る人が多いようだ。最近の研究では長期に放置すると、ガン化する危険性も指摘されている。いわば、おしりに時限爆弾を抱えているようなもの。早めに治療しておくに越したことはない。