「タクシードライバー・金城清の日誌」
1分1秒を大事にする小山社長ですが、意外なことに、朝のお迎えでは「金城さん、急がなくていいですよ。飛ばさなくていいですよ」と言われていました。
法定速度で走っても、ご自宅から本社まで30分あれば着けるのに、あえて、40~45分かけてゆっくり出社します。
小山社長はよく道を知っているので、「ここを曲がって、あそこを曲がって……」と指示されたルートを走っていました(回り道をしていた)。
時間をかけていた理由は、社員の報告をじっくり聞きたかったからでしょう。
部外者の私が、車内で行われていた会話を明かすわけにはいきませんが、報告の内容は、「部下の○○が家を買おうと考えている」「○○さんと××さんが交際している」といった、社員のプライベートにまで踏み込んだものでした。
社員の名前を知らない社長はたくさんいますが、小山社長は違います。
小山社長が、社員のプライベートに興味を持つのは、「社員を守るためには、ある程度、個人情報を知っておく必要がある」と考えているからではないでしょうか。
幹部の方は、みなさん、緊張感を持って報告されていましたが、滝石さん(滝石洋子常務取締役)だけは、いつもリラックスしていましたね。
幹部の多くがノートや「iPad」を見ながら報告をしているのに対し、滝石さんは何も見ず、アドリブで、それでもスラスラと報告をしていました。
ふだんは「聞き役」に徹している小山社長も、滝石さんとは冗談を言い合っていたので、車内の空気も和やかでした。
一方で、幹部社員の報告が要領を得ないと、車内の空気がピリッとします。
小山社長の機嫌が悪くなるからです(笑)。