約3年の月日をかけて、伝説の名著3部作・計4冊2000ページ超がたった1冊に凝縮された『最強のコピーライティングバイブル』がついにリリースされた。鉄板の法則を「骨」とし、国内成功100事例で肉づけした著者の横田伊佐男氏。売れるコピーのエッセンスを知る前に、なぜ売れないコピーになるのかを知ることが第一歩だ」という著者に、その理由を紹介してもらおう。

先に手を出したのは“空の王者”

事例じゃなく、事件です。<br />なぜ、JALとJR東海が<br />大ゲンカ!?横田伊佐男(Isao Yokota)
CRMダイレクト株式会社代表取締役。シティグループ、ベネッセグループにて、一貫してマーケティングに従事。ダイレクトマーケティング、データベースマーケティング、コンサルティング部門の責任者を歴任。約6000商品のプロモーション経験、大手企業100社超のコンサルティング経験を体系化し、2008年に独立。人が動く戦略は「紙1枚」にまとまっているという法則を発見し、「ポケットに入る戦略」こそが、行動から成果につながる戦略であることを突き止める。「使えなきゃ意味がない」を信条に、使えて成果につながる戦略立案を徹底的にたたき込む日本唯一のプロフェッショナル・マーケティングコーチ。企業や受講者の課題点をすばやく摘出し、短時間で確実な成果へと引き上げる「超訳力」を駆使したマーケティング研修講座は、上場企業ホールディングス、政府系金融機関、欧州トップの外資系金融企業、意欲ある中小企業経営者等からの依頼が絶えず、これまでの受講者はのべ2万人を数える。神田昌典氏主催「マーケティング白熱会議」では、ゲストスピーカーとして、読破まで数ヵ月を要する2000ページに及ぶ大著を60分で「超訳」講義。受講者には、赤字会社を1年で黒字化する経営者、他を圧倒し昇格するビジネスパーソンが続出するなど、成果から逆算した育成プログラムを提供中。ダイレクトマーケティングフェア、CRMカンファレンスなど講演多数。著書に、『一流の人はなぜ、A3ノートを使うのか?』(学研パブリッシング)、『ケースブック価値共創とマーケティング論』(分担執筆、同文舘出版)がある。 横浜国立大学大学院博士課程前期経営学(MBA)修了。横浜国立大学成長戦略研究センター研究員。 【CRMダイレクトHP】 http://www.crm-direct.com/

「のぞみへ。先に、行ってるね」

 このかわいらしいキャッチコピーは、誰が誰に向けたものだろうか?

 実際のクリエイティブは、拙著『最強のコピーライティングバイブル』をご覧いただきたい。

 伝言板に女性らしき丸文字の筆跡で書かれ、女性とおぼしき友人の「のぞみちゃん」に残したメッセージのように見える。

 しかし、その見た目のかわいらしさとは真逆に、その舞台裏はえげつない。かなり挑発的かつ戦略的なコピーである。

 このキャッチコピーのサブコピーは、

「空は、速い。空は、安い。JALで飛ぼう」

 これは、日本航空(JAL)がJR東海をもろに意識したコピーだ。

 このJALが打ち出したコピーは、戦略があってつくられたコピーの典型例と言えよう。

 背景には、2003年に東海道新幹線に新駅・品川駅が誕生し、新幹線の最高速度が270キロに高速化されたことがある。

 東京・新大阪間は約2時間20分台、東京・名古屋間は約1時間30分台に大幅短縮。品川駅誕生によって、さらに利便性がよくなった。

 そこで焦ったのが航空各社。なぜなら、飛行機の東京発着地である羽田空港は、利便性が悪い。
飛行機は時間も不正確で、便数も新幹線には遠く及ばない。

 そこへきて、競合である新幹線の利便性向上と高速化は相当な脅威になった。