6月中旬、東京都内のホテルで、医薬品ボランタリーチェーンの草分けといわれるAJD(オールジャパンドラッグ)の創立40周年記念大会が開かれた。

 会場には、AJDの加盟企業や取引先、報道陣など、約420人が顔を揃え、2期4年に及んだ皆川体制の活動報告と、新たに就任した江黒純一本部長の基本方針に耳を傾けた。

 皆川友美前本部長は、「一人ではできないことをみんなの力で」というAJDの基本理念を強調。40年に及ぶAJDの歩みを振り返り、組織の運営形態をブロック制からグループ制に切り替えた真意を熱っぽく語った。

「われわれがめざすのは、地域に根差した“かかりつけ薬局”です。ただ、時間の経過とともに、企業規模に格差が生じ、ブロック単位で活動を続けるのが困難になってきた。そこで規模や理念を同じくするメンバーがグループを結成し、それぞれの立場でAJDの活動にかかわってもらうことにしたんです」

 AJDは、もともと薬局・薬店の有志が集まって、53社/560店でスタートした。その後、薬局・薬店からドラッグストアへの業態転換に伴って、加盟企業が増大。1995年のピーク時には、242社にまで組織が拡大した。

 だが、2002年以降の企業統合時代に突入すると、加盟企業が激減。現在、141社/4900店の規模でオリジナル商品の開発やローカルブランドの育成、メーカータイアップの販促活動などを手掛けている。

 AJDの転換期に舵取りを行った皆川体制は、グループ制の導入とともに、ボランタリーチェーンの本部に加盟社支援委員会を設置。医療部会やCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)研究部会、カウンセリング部会、次世代育成部会といった活動を通じて、地域密着型の多機能薬局に欠かせないビジネスモデルを構築。商品展示会などで、加盟企業や取引先にAJDの基本的な考え方を示してきた。

 第15代の本部長に就任した江黒純一氏は、フェニックスというコアグループのグループ長を務め、40周年記念大会の実行委員長を引き受けている。実直な人柄で、会員企業や取引先の信任も厚い。

 本部長就任の挨拶に立つと、「進化 深化 信化」という大会のテーマにのっとって、新執行部の基本方針を説明。加盟企業だけではなく、取引先や地域生活者の信頼を勝ち取るための指針として、4つの課題を提示した。

 まず第1に、販売力の結集。2番目が、グループ力の強化。3番目が、次世代ビジネスモデルの研究・開発。4番目が、物流・情報システムの強化。そして最後にAJDの方向性をこんな言葉で締めくくった。

「改正薬事法の施行に伴って、ドラッグストアは大競合時代を迎え、地域医療との連携を強化していかなければなりません。地域医療の担い手、あるいはセルフメディケーション(自己健康管理)の専門家集団として、加盟企業が力を発揮できるように、ボランタリーチェーンの機能を強化していきたいと考えています」

 医薬品ボランタリーチェーンの展開は各所で問題を投げかけているが、AJDは皆川体制のもとでメンバーの再結束を図り、協業から協働へといった新たな方向性を打ち出すことができただけでも、幸運なのかもしれない。だが、詰まるところ新生AJDの真価が問われるのは、江黒新体制の舵取り次第ということなのだ。

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AJD40周年記念大会<br />協業から協働へ 新執行部が決意表明

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