人の評判はあっという間に広まり、
すぐに更新される
木暮 記憶が戻ってから、格段に仕事ができるようになりました。
岩瀬 ご自身の何が変わったと思いますか?
木暮 誰に何を伝えればいいかなどの段取り力が身につきました。企画部といっても、僕がやっていたことは根回しとか調整役だったので。
岩瀬 どのタイミングで誰に何を打診しておけばうまくいくか、みたいなことですね。
木暮 はい。それで驚くほど評価されたんです。2年目の冬には、会長が直々に見にくるような、会社として重要な展示会を任されました。通常は35歳くらいのベテラン社員が担当するところを、入社2年目の若手が任されるという。
岩瀬 大抜擢ですね。
木暮 1年目に僕のことを「バカ」と呼んでいた人たちからの僕の評価も、2年目にガラリと変わりました。
岩瀬 今度は「天才」と呼ばれるようになったとか?
木暮 いいえ(笑)。「木暮は他の社員と違うよね」みたいな感じで、手のひらを返されたんです。
岩瀬 人の評判なんてそんなもんだと思いますか? つまり、いつだってガラッと変わりうるものなので気にするな、と。
木暮 はい、評判は良くも悪くもあっという間に伝わるし、すぐに更新されていくものだと思います。
岩瀬 よくスター社員っていますよね。社長や役員でもないのに、誰もが知る有名社員さん。
木暮 いますね。社内報に載るような「できる人」ですよね。
岩瀬 スター社員がいるかどうかは、会社の社風によるところが大きいと僕は思いますが、木暮さんはどう思われます?
木暮 そうでしょうね。例えば僕が最初に転職したサイバーエージェントがまさにそうで、社長の藤田晋さんは半年に一度の社員総会をすごく大切にされているんです。社員の実績を大々的に取り上げてスター社員を作ることで、私も表彰されたい、あんな人材になりたいと新たな目標ができる。社員のモチベーションは上がるでしょう。
けれど、有名社員が必ずしも出世するとは限らないですよね。キーマンとうまくやれるか、といったコミュニケーション能力も問われるでしょうし。ずば抜けて仕事ができたとしても、それだけでは足りないのが現実だと思います。
岩瀬 かと思えば、入社数年で次期社長候補がわかる、というようなケースもありますよね。それも会社によりけりなんでしょうね。