今回の対談相手は、経済ジャーナリストで友人でもある木暮太一さん。大人気の「カイジシリーズ」はマネーリテラシーが学べる“経済の教科書”。新入社員にもおすすめのシリーズです。
前編は、木暮さんが語る「入社1年目にやっておくべきこと」から。(構成/両角晴香 撮影/佐久間ナオヒト)
岩瀬大輔(以下、岩瀬) 木暮さんの「カイジ シリーズ」読ませていただきました。4部作の使い分けやポジショニングはどのような関係性になっているのでしょうか?
木暮太一(以下、木暮) ありがとうございます。最初に誰もが興味ある「お金」の話を書き、続いて2作目は「働き方」をテーマにしました。ここでほぼ完結だったんですけど、2作目の反響が想定以上に大きかった。であれば次回作を…と期待が高まって、3作目は大きく「生き方」にフォーカスしました。
岩瀬 なるほど。お金→働き方→生き方の流れで、明らかに完結していますね。…で、なんですか、この4作目は(笑)。
(編集部注:4作目『カイジ「したたかにつかみとる」覚悟の話』)
木暮 書く予定はなかったんですよ。でも2015年6月、元少年Aの出版騒動をきっかけに気が変わりまして。あの本の制作者サイドは「(お金のためではなく)世間のために作りました」と主張し、周囲の人間も嫌悪感を示しながら、どこか面白がっているように見えました。そこに違和感を覚えて、あらためて正義について書いてみようと思ったんです。
岩瀬 では、正義から出発しつつ、働き方や生き方のほうに…。
木暮 幅を広げました。ですから、「3部作プラス1」という位置づけですね。
実は、カイジシリーズがここまで人気が出るなんて誰も予想していなかったんです。信じていたのは、僕と担当編集者さんと、営業次長さんくらいなもので(笑)。『カイジ』って昔のマンガでしょ? なんて、書店さんの反応もすごい悪くて。
岩瀬 そうなんですか?僕らの世代的にはマンガ『賭博黙示録カイジ』はノスタルジックな印象なんですよね。大学3~4年生の大人になる直前に読んで、現実社会の厳しさや理不尽感を学んだという。
(編集注:『賭博黙示録カイジ』福本伸行著。1996年から1999年まで『週刊ヤングマガジン』で連載)