前回に引き続き、杉村太蔵さんの「社会人1年目」の話。外資系証券会社への転職を実現した杉村さん。このシンデレラ・ストーリーには、「政界進出」というさらなる驚きの続きがあった。(一部肩書きは取材時のものです)

 

前衆議院議員の杉村太蔵氏(左)とライフネット生命の岩瀬大輔氏(右)「似てる」と言われる2人だが、果たして中身も似ているのか?(撮影/宇佐見利明)

 


 

 

 

 

郵政改革についての資料集めが
「運命の出会い」をもたらす

岩瀬 ドイツ証券では、ほかにはどんなお仕事をしていたのですか?

杉村 コピー取りから何から何までやりました。でも僕にとっては、決して入れることのできなかったセキュリティの壁の向こう側での仕事、大出世です。そもそも僕が採用されたのは、運が良かったということもあるんです。当時、ちょうど「四半期決算」が導入される頃で、それまで年に2回だった報告書が3カ月に1回になったんです。

岩瀬 事務量がめちゃくちゃ増えたというわけですね。

杉村 そうなんです。それで、全アナリストのアシスタントのようなことをやっていました。最初は証券コード(一般的には銘柄名を示す4ケタのコードのことを指す。ライフネット生命は7157)を覚えることから始めましたね。文句ひとつ言わずなんでもやっていました。

岩瀬 どのくらいの期間ですか。

杉村 3カ月くらいでしょうか。その時です、ちょうど郵政解散があって。

岩瀬 2005年8月でしたね。小泉内閣の衆議院解散、あのタイミングだったんですか。

杉村 当時の株価は今くらい、1万1000円から1万3000円の間を行ったり来たりしていました。郵政解散で郵政改革が成就したら、株価は大きく上がるだろう。ひいては選挙の動向を調べろと言われたのです。

25歳の若造がわかるわけがない。それで新聞記事を切り抜いたりしてレポートを作っていたら、ちょうど自民党の公募記事に出合ったのです。

岩瀬 運命的ですね。

杉村 そこに書かれていたのが「郵政改革と構造改革について」1600字の論文という課題です。さっそく外国人幹部や先輩たちが普段から話していることをまとめて、提出しました。皆さんの主張をまとめ、「~と私も思う」で締めくくって(笑)。

岩瀬 『入社1年目の教科書』では「仕事は総力戦」いかに人の力を借りてアウトプットをするかと書きましたが、ある意味究極の形ですね(笑)。