先週シャープが発表したロボット型スマートフォン「ロボホン」。「あまり売れそうにない」という声も聞こえるが、これこそがシャープの真骨頂だ

 シャープが鴻海(ホンハイ)傘下に入ることがようやく決まった。「鴻夏恋(ホンシャーレン)」とは「鴻海とシャープ(中国語で「夏普」)の恋」という意味の中国語だが、鴻海とシャープの関係を示す言葉として使われている。

 筆者は民放の昼の情報番組に出演したときに、「シャープと鴻海はツンデレの恋愛ドラマ」と例えたが、まさに4年に渡るつかず離れずの関係に、決着がついた形だ。

 筆者は、4年前から「シャープ再建のパートナーには鴻海がベストだ」と主張してきた。両社が正反対の文化、制度、社員の個性を持つ会社であるからだ。金太郎飴のように似たような国内メインの事業展開を行ない、もれなく2000年代に入って経営不振に陥った日本の総合電機メーカーをいくら束ねても、弱者連合にしかならない。お互いが正反対のカルチャーであるからこそ、相互理解に時間がかかり、「4年物ツンデレ」が続いたわけであるが、両社は正反対であるがゆえに相互補完関係が成立すると筆者は考えている。

 その象徴的な例が、先週シャープが発表したロボット型スマートフォンの「ロボホン」だろう。売れるものを大量に効率的につくってきた鴻海からは、決して出てこない商品だろう。鴻海が生産しているソフトバンクのロボット「ペッパー(Pepper)」とは違う。ペッパーが高額で主にBtoBの製品であるのに対して、ロボホンは、通常のスマートフォンと同じBtoCのマーケット向けの商品である。

 月産5000台は、決して大きい数字ではない。むしろ、開発コスト、部材コストなどを考えると赤字なのではないだろうか。いや、ひょっとすると5000台も売れないかもしれない。