その指標とは「売上高対前年比率」と「売上高対人件費比率」、そして「商品回転率」です。これらを店舗ごとに毎月開示しています。

 ただし、商品回転率を上げるために在庫を減らすのは禁じています。在庫を減らしてキャッシュを生んでも、将来の売上高につながらないからですね。

 こうすると、死に筋の商品を減らせ、世の中で売れている商品が集まり、店長ら自ら仕入れた目利きの商品も並ぶようになるわけですね。

 結果的に明屋書店では、それぞれのお店が独自に考えた「売りたい本」が並ぶ仕組みとなっています。実際、店舗で一番売れる場所に置く本は、店舗ごとに違います。

 あと、定性的な目標として店長には「家族や恋人、友人を連れてきたい店舗か」などと常に問いかけています。やはり、「ここが自分のお店だ」と誇りを持って働いてもらいたいからです。

 また、新しいことへの挑戦も促しています。店長たちには「バットを振れ」と「見逃し三振は許さん」と伝えています。うまくいくとは思っていませんが、74人の店長がいたら1本ぐらいは当たるかもしれないという期待もあるのです。もし成功が生まれたら、その成功を皆で展開していけばいいのです。

──自主性を重んじているというわけですね。では、そもそも、書店の役割とはどうお考えになりますか。

 やはり、ものを考える人間こそが世の中を変えて、社会を支えていくと思います。書店には、そうした人を支える役割があります。本のずらりと並んだ空間で、偶然に手に取った本が人生を変える。セレンディピティという言葉もありますが、そんなことがあるんですよね。その空間を提供し続けることが「街の本屋」として大事だと思います。

 あとは、地域への貢献です。明屋書店のバランスシートを初めて見たとき、驚いたことがありました。換金可能な流動資産に「貯蔵品」があったのです。「一体、書店の貯蔵品とは何だ」と思ったのです。

 ふたを開けてみれば、これらは出版社から社員に贈られた図書カードなどが占めていました。それが結構な金額で積まれていたのです。

子どもたちから届いたお礼の手紙 Photo by T.U.
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 そこで、2013年から毎年、愛媛県内に約10カ所ある児童養護施設の約500人の児童に好きな本を選んでもらいプレゼントすることにしました。スマートフォンも持てないでしょうから、辞典も贈っています。

 子どもたちからいただいたお礼の手紙は今でも持ち歩いていますし、元気の素ですね(右写真)。