また、不正会計処理の表面化で経営危機に直面している東芝は、冷蔵庫など白物家電の製造・販売を担う子会社・東芝ライフスタイルの株式80.1%を中国の家電大手である美的集団に売却することで合意した。売却額は負債を含め約537億円で、売却益は税引き前で約900億円になる見通しである。テレビなどの映像事業は子会社に移管して東芝が継承するが、小物家電の東芝ホームテクノなど東芝ライフスタイル傘下の16社も東芝グループから外れる。

 三洋電機が2011年10月に白物家電事業を中国の家電大手であるハイアールに売却し、パナソニックがその他の家電事業を次々と吸収・救済統合して残る全従業員を受け入れたのは、1年前の2015年4月のことである。三洋電機がこれをもって消滅したことは衝撃的であり、まだ記憶に新しい。

農耕型経営の行動原理から
抜け出せないことが凋落の原因

 日本の家電業界はなぜ、今なお底流に淀む業界体質や企業風土から脱し切れずにいるのか。あえて直言すれば「奢れる者は久しからず」で、今流に言えば企業ガバナンスの欠如である。田植えはいつすべきか、自分で決めることなく隣に合わせる行動原理に従い、いわば農耕型経営の下で大過なく家電ブームに酔い痴れ、わが世の春を謳歌してきた慢心が、半世紀の歳月を経て体質化するなか、経営危機への備えを怠り、自戒作用が働かなくなったのではないか。昨今の凋落傾向は、その咎めである。

 シャープの液晶への過剰投資をはじめ、東芝の歴代社長が関与していた不正経理、三洋電機の苦し紛れの放漫経営など、いずれも自己中心的なガラパゴス化によってもたらされた必然的な結果と言えよう。

 新製品開発や新規事業への参入をめぐる日本の家電業界の横並び志向は、どこを切っても同じ顔を見せる「金太郎あめ」方式の典型で、古くから有名だ。家電各社は始めは先を競って新製品を開発し、新規市場へ参入するものの、やがて振り向けば全社が足並みをそろえて全製品を手がけている。表向きはしのぎを削り合っているが、その裏では企業序列を守り合う共存共栄の協調体制を優先しているわけだ。いわゆる「つくれば売れる」時代の市場環境で長期にわたり許されてきた売り手市場のぬるま湯が、家電業界の習性となって定着し、今日に尾を引いている。